著者
菊谷 まり子 池本 真知子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では感情の定義に文化差が見られるかを検証するため、様々な国の人々に特定の感情を感じる状況を書き出してもらい比較している。研究では喜び、悲しみ、熱い怒り、冷たい怒り、驚き、興奮、眠気、リラックス、満足、恐怖の10感情それぞれについて、それらを感じる状況を参加者に書き出してもらった。分析では回答された状況を感情に関係なく似たような内容ごとに分類およびラベリングをし、どの感情にどのラベリングの状況がいくつ回答されたかを数え、感情ごとの類似性を計測した。現在、日本、台湾、スウェーデン、ベラルーシ、カンボジア、韓国のデータがそろっている。感情の概念構造は全体的に共通の枠組みが見られたが、細かいところが異なり、特に恐れの認識が各国でかなり違うことが見出された。さらに詳しく分析するため、テキストマイニングという手法でデータを解析しなおしている。計画ではポーランド、アメリカ、イギリスからもデータを取得する予定であったが、コロナウイルスに関連して回答が大きくゆがむと考えられ、コロナウイルス流行前に取得した他国とのデータとの比較が不可能であると考えられたため、令和二年度はデータの取得を見合わせた。その代わり、韓国と日本の感情概念の比較に関して協力研究者の朴氏と共同研究を行い、それぞれの文化や歴史的背景が感情の定義や評価(感情同士の類似性など)に関係するのかを調べた。このテーマで執筆した研究論文2本が現在査読中である。さらに同テーマのレビュー論文も執筆中で、学術雑誌Languagesの特別号(2022年発行)に掲載予定である。加えて中国人と日本人の感情がうつに及ぼす影響についての研究も別の協力研究者と行った。また、人間が声や発話内容から感情をどのように読み取るかに関する実験を日本人に対して行い、それに関する論文を執筆、投稿した(現在査読中)。

言及状況

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感情の定義や概念に対する文化の影響についての研究 https://t.co/ewPsIChHPY

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