著者
種市 淳子
出版者
名古屋柳城短期大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

1. 研究目的本研究は、短期大学図書館における利用者のOPACを用いた情報探索過程を調査し、得られた知見をもとに、実証的観点から現状のOPACの評価と改善策を検討することを目的とした。2. 研究方法(1)ログ分析と(2)検索実験を用いた。(1)ログ分析:2004年〜2007年の各年の6月1日〜7月31日におけるOPACアクセスログを採取して分析した。なお実験対象としたOPACには検索のアクセスポイントに目次情報が付加されていた。(2)検索実験:短期大学生44名を被験者に、課題を用いた検索実験を行った。その際、探索前に、検索に使用する「情報源」及び「キーワード」の明確化を促す群と促さない群を設定し、収集されたデータ(検索画面の操作履歴、ヘッドカメラの映像、利用された情報源、発話プロトコル)から行動比較と分析を行った。3. 研究成果調査の結果、以下の3点が明らかとなった。1) OPACで実行される検索語は下位語と自然語が多用される傾向にあり、目次にヒットする割合が高い、また検索語にフレーズを使用する割合が年々増加している。2) 検索インタフェースに使用される用語(例:件名、分類コード)の認知度は著しく低い傾向にある。3) 探索前に「キーワード」を明確にした群は、「キーワード」を明確にしなかった群と比較して、OPACの検索実行数及び収集された資料数により高い数値を示した。以上の結果から、現状のOPACシステムについて、目次情報による検索アクセスポイントは利用者アクセスを促進する効果が認められること、OPACのインタフェースでは、短期大学生の検索リテラシーを考慮し検索用語の表記や説明方法に改善を要する点があることが示された。また探索前に探索目標(「情報源」「キーワード」)を明確化させる行為は情報収集活動に影響を与えることが明らかとなった。

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