- 著者
-
奥田 勝博
- 出版者
- 広島国際大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2009
4-Methyl-2, 4-bis(ρ-hydroxyphenyl)pent-1-ene(MBP)は、我々のグループがビスフェノールA(BPA)の活性代謝物として発見した化合物であり、in vitroではBPAの数十倍から千数百倍のエストロゲン活性を示すことが明らかとなっている。本研究ではラットin vivoにおけるMBPのエストロゲン活性を評価することを目的とした。Wistar系ラットの卵巣を外科的に摘出し(OVX)、内在性のエストロゲンを枯渇させたOVXラットにエストラジオール(0.55μg/kg/day)、BPA(0.5,5,50mg/kg/day)及びNBP(0.1,1,10mg/kg/day)を5日間皮下投与し、最終投与の翌日に子宮を摘出して重量を測定した。ホルマリン固定・パラフィン包埋サンプルを作成して、薄切後にHE染色を行い、組織の観察を行った。また、パラフィン包埋サンプルからRNAの抽出を行い、リアルタイムPCRによって、各種エストロゲン関連遺伝子のmRNA発現量を定量した。MBPを投与したOVXラットの子宮重量はコントロールに比べて有意かつ濃度依存的に増加し、子宮内膜上皮高、及び子宮筋層厚についても同様の結果が観察された。同時に行ったBPA投与群と比較して、MBPはBPAの500倍以上のエストロゲン活性を有することが示唆された。また、OVXによって惹起されたエストロゲン受容体のmRNA発現上昇を有意に抑制し、IGF-1およびc-fosのmRNA発現の減少を濃度依存的に回復させた。これらの結果から、MBPは哺乳動物においても高いエストロゲン活性を有し、BPAの活性代謝物として人体に影響を及ぼす化合物であることが示唆された。