著者
岩國 亜紀子
出版者
兵庫県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

つわりを持つ妊婦11名に、1日1回7日間、副交感神経機能を亢進させる足部マッサージと腹式呼吸(以下、本介入)を行った。本介入実施前後にVAS(Visual Analogue Scale)を用いて嘔気程度を測定した結果、全介入期間において6.2~12.8(9.3±2.7)の減少が見られた。加えて、リラックスや、体内の空気や血流の改善を感じて嘔気の軽減が見られたと捉えた妊婦は7名(63.6%)であった。これらより、本介入実施後に嘔気が軽減したことが明らかとなった。また、本介入実施後に収縮期血圧及び/又は脈拍数が低下したものは全実施回数72回の内、58回(80.6%)であった。加えて、副交感神経機能の亢進に伴う変化は10名(91.0%)より述べられており、足先・手・全身の温かさや、それに伴う足の冷えや全身の寒さの軽減、「気持ちがほどける、気持ちのよさ」など精神的落ち着き等が感じられていた。これらより、本介入によって副交感神経が亢進したことが推察された。本研究の妊婦には、交感神経機能が亢進していることが推察された妊婦と、両自律神経機能が亢進していることが推察された妊婦の2パターンが見られたものの、両自律神経機能が亢進した妊婦は少なく、パターンによって本介入の反応に違いは見られなかった。しかし、妊婦に見られるつわり症状には自律神経機能が大きく関与しており、妊婦の自律神経機能を査定することはつわり及びその効果的な対処法を解明する上で重要である。今後は、心拍RR間隔変動、尿中ノルアドレナリン濃度など客観的評価指標を用いて適切に自律神経機能の評価を行い、パターン査定項目の洗練及び本介入の反応の違いを明らかにする必要があると考える。

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