- 著者
-
関口 正幸
- 出版者
- 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2011
恐怖・嫌悪体験を記憶することは生物の生存に重要であるが、ある種の精神・神経疾患ではこの記憶の極端な亢進が見られる場合がある。本研究では恐怖・嫌悪体験の記憶(恐怖記憶と略)を調節する神経機構解明を目的として研究を行った。その結果、①恐怖記憶は食餌として摂取する不飽和脂肪酸のバランスに影響を受け、これにはカンナビノイド神経伝達が関与すること、②新生児期にストレスホルモンに曝露されると、成長してからの恐怖記憶が弱まりにくいこと、等を明らかにして論文報告した。これらの研究成果は、恐怖情動異常亢進の症状を有する精神・神経疾患の病態解明や治療法開発に有用な基盤情報となることが期待される。