著者
杉田 正道
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

【目的】頚椎症の関連痛型症例に対し鍼治療を行い、その治療成績について検討した。【方法】症例を発症から当治療室での鍼治療開始までの期間別に分け、その治療成績を検討した。症例は43例で、男12例・女31例、平均年齢は51.0歳であった。発症から1ヶ月までと3ヶ月の者は各5例・6ヶ月と1年が各4例・2年5例で、2年以上は20例で、平均63.1ヶ月であった。ジャクソンの過伸展圧迫テスト陽性は43例中33例、スパーリングの椎間孔圧迫テスト陽性は25例であった。また頚椎の骨変形の程度評価基準(I型がその程度が最も軽度で、II・III・IV型と強くなる)に基づく内訳は、43例中I型が13例・II型17例・III型13例であった。鍼治療は頚肩・肩甲間部への単刺・雀啄・置鍼、低周波鍼通電療法、円皮鍼等を適宜行い、治療頻度は週1回、期間は一般的に物理療法の効果判定に必要とされる3ヶ月とし、治療効果の判定は各症例の自覚症状と他覚的所見の改善度をもとに、著効・有効・やや有効・無効の4段階とした。【結果】発症から鍼治療開始までの期間からみた治療成績は発症から1ヶ月が著効1例・有効2例・やや有効1例・無効1例・3ヶ月では5例全て有効・6ヶ月では著効1例・有効2例・やや有効1例であった。発症から1年では著効2例・有効と無効が各1例で、2年では、有効3例・やや有効2例で、2年以上では著効3例・有効9例・やや有効6例・無効2例であった。今回は発症から治療開始までの期間別の症例数にばらつきが高かったこともあり、一定の傾向は得られなかった。やはり本症は頚椎変形がベースとなる疾患であることから、頚椎骨変形の程度が軽度な者の方に治療成績が良い、という傾向がみられた。また全体としての治療成績は、著効は43例中7例(16.3%)・有効22例(51.1%)・やや有効10例(23.3%)・無効4例(9.3%)であったことから、本症に対する鍼治療の有効性や有用性が示唆されたものと考える。

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頚椎症(関連痛型)に対する鍼治療の成績について|科学研究費助成事業データベース https://t.co/5wOnAAtlsK #臨床医学 #鍼灸学

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