著者
谷口 奈央 廣藤 卓雄 中野 善夫
出版者
福岡歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

喫煙は、タバコのタールの臭いの他に、喫煙によって引き起こされる唾液分泌減少、舌苔付着促進、歯周疾患などにより、口臭に関係すると考えられる。口臭は主に舌苔に棲息する細菌によるアミノ酸代謝過程で発生し、舌苔はタバコの煙に直接曝露されるため、喫煙により舌苔細菌叢が受ける影響も口臭に関係すると推測される。本研究では、喫煙が唾液と舌苔の細菌叢に与える影響を、臨床的に健康な口腔環境を持つ若者を対象として調べた。福岡歯科大学口腔歯学部6年生50名 (喫煙者18名、非喫煙者32名) を対象と唾液と舌苔を採取した。サンプルより抽出した細菌DNAから16S rRNA遺伝子をPCRによって増幅し、高速シーケンス解析法によってそれぞれ約3.0億塩基の配列を得た。OTU解析後、口腔内細菌16S rRNA塩基配列データベースを用いて相同性検索を行った。また喫煙と細菌の量的関係を評価するために、ブリンクマン指数との相関分析を行った。菌叢の多様性解析では、喫煙群と非喫煙群の間に有意な違いはみられなかった。属レベルで比較解析を行ったところ、喫煙群はDialister属、Atopobium属等の割合が有意に高く、Haemophilus属、Gemella属、Peptostreptococcus属などの割合が有意に低かった。Dialister属とPeptostreptococcus属は歯周病との関連が示唆され、Atopobium属は口臭患者の唾液に高い割合で存在することが報告されている。ブリンクマン指数との相関分析では、Selenomonas属、Bifidobacterium属が正の相関を示した。Selenomonas属は、歯周炎など病的状態で多く分離されるグラム陰性運動性桿菌である。Bifidobacterium属は、糖を分解して乳酸や酢酸を産生するグラム陽性偏性嫌気性桿菌で、タバコの主流煙は酸性であることから、酸性環境下に強い菌の増加がみられた可能性がある。喫煙は唾液と舌苔の細菌叢に影響を与えていた。喫煙者では口腔内の病的状態と関係する細菌が高い割合でみられた。

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喫煙は、タバコのタールの臭いの他に、喫煙によって引き起こされる唾液分泌減少、舌苔付着促進、歯周疾患などにより、口臭に関係すると考えられる。 喫煙による舌苔細菌叢の変化が口臭に及ぼす影響 https://t.co/ij4tArUoEC

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