著者
田中 佐千恵
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2014年4月~2019年3月に当院精神科を受診した気分障害・ストレス関連障害の休職者のうち,研究に同意の得られた患者22名(うつ病11名,双極性障害7名,その他4名,男性18名,女性4名,平均39.0歳,平均参加期間137日)がプログラムに参加した.プログラム開始時と終了時の評価尺度の比較では,認知機能を測定するBACSの言語記憶,言語流暢性,注意,社会適応度を測定するSASS-Jの興味や好奇心,職務遂行能力を測定するGATBの知的能力,言語能力,書記的知覚,空間判断力,形態知覚,運動共応,手腕の器用さ,復職準備性を測定するPRRSの基本的な生活状況,症状,職場との関係,作業能力,準備状況,健康管理,PRRSトータルで有意な改善を認めた.うつ病の重症度を測定するHAM-D, 躁症状の重症度を測定するYMRSに有意差は認められなかった.プログラム終了後に復職できたのは16名(72.7%)であり,就労継続率は1年後,2年後ともに93.7%であった.プログラム終了後では,特に作業能力や復職の準備性の改善が大きかった.長期的検討では,復職率は国内での先行研究で示された,63.6~77.2%(秋山2003; 北川2009; 平澤2011; 大木2012)と同程度であり,就労継続率は既報の継続率,1年後86.0%,2年後71.5%(五十嵐2014)と比較しても高く,作業療法を取り入れた多職種で行う地域包括型のリワークプログラムの有効性が示唆された.2018年度は地域のハローワーク,障害者就業・生活支援センターと連携し,離職者のフォローアップ体制を整えることができた.

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