- 著者
-
若林 久嗣
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1988
滑走細菌群のFlexibacter columnarisは、種々の淡水魚類の皮膚、鰭、鰓などの体表面に感染病巣を形成し、病害をもたらす。本研究では、環境水中あるいは魚体表面に存在する他種の細菌との水中あるいは体表での競合関係について検討した。1. F.columnarisの生存性のすぐれた「調合水」は、蒸留水にNaCl、KCl、CaCl_2・2H_2O、MgCl_2・6H_2Oをそれぞれ、0.03%、0.01%、0.002%、0.004%溶かしたものであった。2. 調合水にF.columnarisを約10^6CFU/mlとA.hydrophilaまたはC.freundiiを約10^6、10^7、10^8CFU/ml加え、この中にドジョウを入れて一定時間毎に実験魚の一部をとりあげ、体表粘液をサンプリングし、間接蛍光抗体法でF.columnarisの菌数を、またDAPIで総菌数を測定した。競合菌濃度が10^8CFU/ml、すなわちF.columnarisの100倍存在する場合には、F.columnaris菌数が増加せず発病しなかった。3.競合菌を混入する時期と感染妨害との関係について検討した。C.freundiiをF.columnarisと同時に加えた区と30分後に加えた区では発病も斃死も見られなかったが、1時間以後に加えた区では、発病・斃死が認められた。また、C.freundiiをF.columnarisと同時に加えた区と30分後に加えた区における体表粘液中のF.columnaris菌数は、前者で8時間後まで若干増加したほかは増加せず、やがて減少して行った。一方、1時間以後に加えた区での体表粘液中の菌数は、24時間後まではC.freundiiも増加したもののF.columnarisの増加に及ばず、48時間後にはF.columnarisがさらに増加したのに対し、C.freundiiは減少した。これらのことから、競合菌C.freundiiによるF.columnaris感染妨害は、ドジョウ体表面への付着時ないしは付着直後の増殖開始時に起こることが推察された。