著者
藤澤 和子
出版者
三重県亀山市立亀山西小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

1.研究目的知的障害のある人たちが、遠隔コミュニケーションを拡げるために携帯電話などの携帯端末で利用できるシンボルを使ったWeb版のメールシステムを開発し、特別支援学校での事例実践によりシステムの教育的な有用性と実用性を検証する。2.研究方法携帯端末に対応できるインターフェースの開発を行い、Ipad、Iphone、パソコンを使って、メールの送受信を行った。A養護学校の知的障害児童5名を対象に、クラス担任3名と、A養護学校で児童がよく知っている教師や保護者、他の養護学校教師7名が参加して、メール交換を行った。顔のイラストで送受信者を選択できるようにしたので、参加者は、事前に登録する手続きを取った。3.研究成果携帯端末用のインターフェースは、表示されるシンボルのサイズが小さくなり、一画面にたくさん並べることは難しくなるため、選択したシンボルの大きさを画面にタッチすることで自由に拡大縮小できる機能を付け、シンボルのカテゴリーに階層性を持たせることで、できるだけ多くのシンボルから選んでメールを作成できるようにした。23年1月~3月にメール使用を実施した。対象児童は、Ipadを使い、遊び時間などに自発的に、保護者や別クラスや他の学校の教師といった目の前にいない人に向けてもメールを送り、返信メールの受信を楽しみにした。児童以外の参加者も、家や学校などからIphoneやパソコンを使って、児童へのメールの返信や自発的な送信を行った。児童からのメッセージは、学校でがんばっていることや遊んでいることの報告や、遊ぼうという呼びかけ、何を勉強しているのかという問いかけなど、伝達意図は明確だった。参加者全員の総メール回数は199回に達し、本システムが時間と場所を選ばず、パソコン環境の有無などの影響を受けずにメール交換ができた利便性と遠隔コミュニケーションツールとして活用できる有効性を明らかにしたと考える。