著者
朴 春麗 Chunli PIAO
出版者
中京大学文化科学研究所
雑誌
文化科学研究 (ISSN:09156461)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.44-27, 2005
著者
河宮 信郎 Nobuo KAWAMIYA
出版者
中京大学文化科学研究所
雑誌
文化科学研究 (ISSN:09156461)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.1-14, 2005

英語文型に関しては、Onions以来の伝統的な5文型論がながらく標準であった。しかし、副詞を文型要素から一律に排除することは不合理であり、5文型では原理的にカバーできない構文が多数あった。R.Quirkらはこの点を是正し、「7文型論」を提起した。これにより、英語構文をひろくカバーできるようになった(網羅性の向上)。これをさらに改良したものが安藤貞雄の「8文型論」である。なお、「8文型」の枠に収まらない「派生文型」が4種ある。構文に対する網羅性を高めるために、文型数を増やすと簡明さや一覧可能性が損なわれる。高い網羅性と簡明さを兼ね備えた文型システムが望まれる。本考察は、8文型論の再検討と拡張によってこの課題に答えることを試みる。自動詞の文型はSV;SV+A or C;SVC+A or zのいずれかである。これを包括的にSVXYと表す(空白の項を含む)。他動詞の文型はSVOXで、Xは空白(Null)、O、A、or Cのいずれかである。本考察によれば、自動詞文型SVXY、他動詞文型SVOXに対して、文型要素の個数と品詞的機能からX、Yを容易に決めうる。この方法によれば、「派生文型」を含めた一般の構文に対して、的確な文型分析を簡明かつ迅速に行うことができる。