著者
北脇 義友
出版者
備前市日生西小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

岡山県は近世最大の干拓である沖新田を初めとして多くの干拓地が造られた。それにともない多くの樋門が造られたが、ほとんど研究の対象にされず、河川改修にともない次第に消えていっている。そこで筆者は悉皆調査を行い、約100箇所の樋門を写真に記録した。それらの樋門は県南で採れる花崗岩を使ったものである。岡山県の樋門の特徴を明らかにするためにも他県の石造樋門の調査は欠かせないことから、県外の樋門を中心に踏査を行った。全国的には広島県草深の唐樋門、山口県の田島新開作南蛮樋門・高泊開作浜五艇唐樋・土手町南蛮樋・堀川南蛮・尾津町南蛮樋、福岡県の寿命の唐戸・堀川の中間唐戸・猿喰新田塩抜きの穴、熊本県の大鞘樋門・石塘樋門・百太郎樋門、佐賀県の石井樋、愛媛県の禎瑞新田の南蛮樋、神奈川県の姫小島樋門がある。今回の調査では、田島新開作南蛮樋門・土手町南蛮樋・堀川南蛮樋・尾津町南蛮樋、大鞘樋門・石塘樋門、禎瑞新田南蛮樋、石井樋の調査を行うことができた。そのなかで、岡山県には近世以降の石造樋門が百箇所程度が残っているが、県外では先に示したように非常に限られた数しか残っていないことがわかった。樋門の構造には地域によって大きな違いがあり、大きく分けると、巻き上げ式、引き上げ式、招き戸式、観音開式の四つのスタイルがある。呼び方にも南蛮樋及び唐樋の二通りの呼び方が行われているが、岡山県ではすべて唐樋と呼ばれている。また、樋門の上部に覆屋があるものとないものがある。そのほか、石の使い方、ろくろ木、水切りなどのさまざまな違いがあり、それらを詳細の違いを明らかにしていく予定である。今後は残された金沢八景の樋門・百太郎樋門の調査を行うと共に、新たな樋門を見つけていきたい。