- 出版者
- 写
室町時代の歌人正徹(1381-1459)による写本の転写。書名は原表紙の書き題簽による。本文の第3丁までと第4丁以下とは筆跡、紙質が異なり、第4丁以下には朱墨で注を書き入れる。巻末に「戸部尚書」すなわち藤原定家(1162-1241)の本奥書2種、祖父定家の真筆本を一字も違えず書写したとする冷泉為相(1263-1328)の奥書があり、さらに「千松末葉正徹在判」とある。正徹の奥書がある『伊勢物語』写本は、かなり伝存している。本書は清原家伝来。なお、藤原定家は『伊勢物語』を何回も書写しており、今日伝わる写本はほとんど定家本の系統である。