- 著者
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副田 恵理子
平塚 真理
- 出版者
- 北海道大学国際本部留学生センター
- 雑誌
- 北海道大学留学生センター紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.1-19, 2011-12
本研究は、日本に住む初級学習者が日常生活場面で未知語に遭遇した際、その意味理解のためにどのような物的リソースを用い、その使用過程の中で何が問題となるのかを明らかにした。調査では、日本に住む非漢字圏からの初級日本語学習者9名に、実生活に近い場面設定で未習語の意味理解を必要とする課題を与え、その課題遂行過程とフォローアップインタビューをビデオ録画した。そのデータを、今回は翻訳ツール(翻訳サイト、及び、Webメール・Webブラウザに付属の翻訳機能)の使用に焦点をあてて分析した。その結果、学習者の半数が、PC上に提示されたものを読む場合に翻訳ツールを中心的に使用していた。翻訳ツールは、意味を得たい部分にポインターを合わせる、或いは、PC上のテキストをそのままコピー・貼り付けするだけで対訳を得ることができるため、検索過程における入力の問題がなく、より円滑に適切な意味が把握できるものと思われた。しかし、翻訳ツール側の問題として、適切に翻訳されない、元の日本語文で省略されている部分が適切に補われていないなどの問題が見られた。また、その問題に調査協力者は対応できておらず、使用者側の問題も明らかとなった。