著者
副田 恵理子 平塚 真理
出版者
北海道大学国際本部留学生センター
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-19, 2011-12

本研究は、日本に住む初級学習者が日常生活場面で未知語に遭遇した際、その意味理解のためにどのような物的リソースを用い、その使用過程の中で何が問題となるのかを明らかにした。調査では、日本に住む非漢字圏からの初級日本語学習者9名に、実生活に近い場面設定で未習語の意味理解を必要とする課題を与え、その課題遂行過程とフォローアップインタビューをビデオ録画した。そのデータを、今回は翻訳ツール(翻訳サイト、及び、Webメール・Webブラウザに付属の翻訳機能)の使用に焦点をあてて分析した。その結果、学習者の半数が、PC上に提示されたものを読む場合に翻訳ツールを中心的に使用していた。翻訳ツールは、意味を得たい部分にポインターを合わせる、或いは、PC上のテキストをそのままコピー・貼り付けするだけで対訳を得ることができるため、検索過程における入力の問題がなく、より円滑に適切な意味が把握できるものと思われた。しかし、翻訳ツール側の問題として、適切に翻訳されない、元の日本語文で省略されている部分が適切に補われていないなどの問題が見られた。また、その問題に調査協力者は対応できておらず、使用者側の問題も明らかとなった。
著者
石井 治恵
出版者
北海道大学国際本部留学生センター
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.19, pp.36-45, 2015-12

本稿は、2014年度の北海道大学国際本部相談室における活動内容、実績、および今後の課題についてまとめたものである。2014年度の活動内容は、伺人面接、危機対応、心理教育的活動、留学生を指導・支援する教職員向けコンサルテーシヨン研修であった。個人面談における年間実利用者数は57件、延べ利用者数は542件であった。相談内容とその割合は、心理的な悩みに関する相談が30%、精神障害に関する相談が26%、修学・進路に関する相談が17%、対人関係の問題に関する相談が16%、 事故、経済、生活に関する問題等の相談が11%であった。また、教職員向けコンサルテーションでは、年同延べ21件の利用があった。最後に、2012年度活動報告で挙げた課題のその後と、危機対応における言葉の問題について触れた。