著者
田中 希穂 Kiho Tanaka
出版者
同志社大学教職課程年報編集委員会
雑誌
同志社大学教職課程年報 = The annual bulletin of the Teacher-Training Course at Doshisha University (ISSN:21867607)
巻号頁・発行日
no.7, pp.3-18, 2018-02-15

本研究では、大学生の学習活動における自律的(自己決定的)な動機づけと自己効力感の関連性を検討した。大学生112名(男性47名、女性65名)が調査に参加した。構造方程式モデリングの結果、内発的動機づけは自己効力感とは関連せず、直接的に適応的な学習行動を促進し、不適応的な学習行動を抑制する傾向が示された。外発的動機づけにおいては、能力認知に関する信念が行動開始に重要な役割を果たしていることが示唆された。自律性の高い外発的動機づけは、どのような自己効力感を知覚するかによって、学習行動が異なる。自律性の比較的低い外発的動機づけは、自己効力感と相互に作用することによって、学習行動につながるが、全く自律性のない外発的動機づけは、自己効力感や学習行動と関連せず、自己効力感以外の調整要因を検討する必要性が示唆された。
著者
山崎 優子 Yuko Yamasaki
出版者
同志社大学教職課程年報編集委員会
雑誌
同志社大学教職課程年報 (ISSN:21867607)
巻号頁・発行日
no.6, pp.3-16, 2016

小中高におけるいじめは深刻な問題である。いじめ被害は数年経過した後でもネガティブな影響を及ぼし続けることが先行研究で明らかにされている(水谷・雨谷,2015)。本研究では、将来教員になったときのいじめ被害者・加害者への対応についての認識が、自身のいじめ被害・加害等の経験とどのように関連するかを明らかにすることを目的とした。教職課程の受講生を対象にした調査の結果、中学校でいじめ被害を経験したと回答した参加者は、51%にのぼった。そして、中学校における被害生徒への対応については、いじめ被害経験のある者ほど「他の教員/機関との連携」の必要性の認識が高まる傾向にあった。その一方で、いじめ加害経験のある者ほど「被害生徒に対する具体的ケア」の必要性の認識が低下する傾向にあった。いじめ経験の有無にかかわらず、教員になった時にいじめ問題に対処するために、大学の教職課程で学ぶ必要があると考える事象は、対策、実態/ケーススタディ、原因など多岐にわたることが明らかとなった。論文(Original Research Article)