著者
山崎 優子 石崎 千景
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、市民の死刑に対する態度(賛成、反対)を形成する心的メカニズムを明らかにすることである。本研究の主要な成果は下記のとおりである。質問紙およびディスカッションによるデータ収集を行い、死刑賛否の理由17項目を抽出した(研究1)。また、質問紙調査を行い、個人の特性に由来する内的要因(たとえば、権威主義傾向)と社会的要因(たとえば体感治安)を考慮した死刑賛否に至るモデルを構築した(研究2)。さらに、死刑制度に関する正しい知識を与えた前後で、死刑賛否に関するモデルが異なること(研究3)、死刑賛否に影響する要因と裁判員裁判の死刑判決に影響する要因が必ずしも一致しないこと(研究4)を示した。
著者
山崎 優子 Yuko Yamasaki
出版者
同志社大学教職課程年報編集委員会
雑誌
同志社大学教職課程年報 (ISSN:21867607)
巻号頁・発行日
no.6, pp.3-16, 2016

小中高におけるいじめは深刻な問題である。いじめ被害は数年経過した後でもネガティブな影響を及ぼし続けることが先行研究で明らかにされている(水谷・雨谷,2015)。本研究では、将来教員になったときのいじめ被害者・加害者への対応についての認識が、自身のいじめ被害・加害等の経験とどのように関連するかを明らかにすることを目的とした。教職課程の受講生を対象にした調査の結果、中学校でいじめ被害を経験したと回答した参加者は、51%にのぼった。そして、中学校における被害生徒への対応については、いじめ被害経験のある者ほど「他の教員/機関との連携」の必要性の認識が高まる傾向にあった。その一方で、いじめ加害経験のある者ほど「被害生徒に対する具体的ケア」の必要性の認識が低下する傾向にあった。いじめ経験の有無にかかわらず、教員になった時にいじめ問題に対処するために、大学の教職課程で学ぶ必要があると考える事象は、対策、実態/ケーススタディ、原因など多岐にわたることが明らかとなった。論文(Original Research Article)
著者
ブイ ティ ゴク ハー 端田 寛子 倉若 美咲樹 舘花 春佳 有田 安那 佐々木 菜穂 志村 二三夫 山崎 優子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.85-97, 2018-03-31

【目的】植物の二次代謝産物を用いるハーブサプリメント(HS)の利用に伴う健康被害例は少なくない.特に医薬品との相互作用に関わる薬物代謝酵素cytochrome P450(CYP)の関与が指摘されている.そこで,HSの安全性確保には,適切なリスク評価が必要であると考え,これまで複数のHSについて食品添加物の安全性評価の手法に準じた肝CYPへの作用を指標とした製品対象動物試験を実施してきた.本研究では,アマチャヅル(学名 Gynostemma pentaphyllum :英名 Sweet tea vine (STV), Jiaogulan)製品を対象とした.STVは,その成分ダンマラン系サポニンに健康効果が示唆され,ベトナム等で人気が高い.食経験は比較的豊富であり,近年ベトナム人を対象とした無作為化比較試験により,耐糖能効果が示され注目されている.しかしながら,医薬品等との相互作用は不明である.そこで,製品の安全性を検討した.【方法】米国A製品とベトナムブランドB製品は純水に懸濁し,一日推奨目安量の100倍量をSD系雄ラット(約200g)に8日間反復胃内投与した.系統差の検討ではGK(Ⅱ型糖尿病自然発症モデル)ラットおよびWistar系ラットを用いた.肝CYP分子種の遺伝子発現は,酵素活性,タンパク質,mRNAレベルで検討した.【結果】2種のSTV製品投与による肝臓重量への有意な影響はなく,共通してalkoxyresorufin O -dealkylase活性が上昇していたが,mRNA発現はCYP1A2が軽度に上昇した.これはWistar系,GKラットでも同結果であった.なお,CYP1A1 の発現に関しては,製品差と系統差がみられた.【結論】STV製品は品質等により,より強いCYP1A誘導作用を持つ可能性がある.本法のような試験を事業者が実施することは安全性確保に有用である.