著者
田中 希穂 Kiho Tanaka
出版者
同志社大学教職課程年報編集委員会
雑誌
同志社大学教職課程年報 = The annual bulletin of the Teacher-Training Course at Doshisha University (ISSN:21867607)
巻号頁・発行日
no.7, pp.3-18, 2018-02-15

本研究では、大学生の学習活動における自律的(自己決定的)な動機づけと自己効力感の関連性を検討した。大学生112名(男性47名、女性65名)が調査に参加した。構造方程式モデリングの結果、内発的動機づけは自己効力感とは関連せず、直接的に適応的な学習行動を促進し、不適応的な学習行動を抑制する傾向が示された。外発的動機づけにおいては、能力認知に関する信念が行動開始に重要な役割を果たしていることが示唆された。自律性の高い外発的動機づけは、どのような自己効力感を知覚するかによって、学習行動が異なる。自律性の比較的低い外発的動機づけは、自己効力感と相互に作用することによって、学習行動につながるが、全く自律性のない外発的動機づけは、自己効力感や学習行動と関連せず、自己効力感以外の調整要因を検討する必要性が示唆された。