著者
米本 和弘 佐野 香織
出版者
国立大学留学生指導研究協議会
雑誌
留学生交流・指導研究 (ISSN:13434683)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.49-61, 2023 (Released:2023-07-06)

近年、高等教育の「内なる国際化」の観点から、国際共修の授業が盛んに行われ、観察された学生の学びや変容の様子をもとに、その効果と可能性が指摘されている。ただ、高等教育の国際 化に関しては、課題も指摘されており、授業の方法や技術面の課題のみではなく、国際化の意味と国際共修のあり方についても議論を深める必要がある。そこで本稿では、協働で実践を行った 教員2名の協働探究を通して、教員の国際共修に対するあり方について考察することを目的とした。教員2名に対するインタビューを通し収集したデータをもとに、国際共修で直面しうる境界 に関する課題とそれに対する教員の教育観を描き出すとともに、高等教育の国際化とは何を指すのかという視点から、教員の境界へのかかわり方を論じた。国際共修というアプローチが抱えうる課題を取り上げたが、教員2名の教育実践を通して、その課題教員が常に意識的であることの重要性と、その難しさが明らかになった。
著者
瀬尾 匡輝 小西 達也
出版者
国立大学留学生指導研究協議会
雑誌
留学生交流・指導研究 (ISSN:13434683)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.63-76, 2023 (Released:2023-07-06)

本稿では、BEVI による量的調査及びインタビューによる質的調査から、オンラインによる短期海外研修に参加した学生達にどのような内面的な変化が、どのようにもたらされたのかを検討する。本研究で対象とするオンラインによる短期海外研修は、日本のA大学の学生を対象にベトナムのB大学と協力して行ったものである。研修で学生は、1)タンデム学習への参加、2)B大学の学生が運営するオンライン日本語教室の支援、3)コンテンツ配信の受講、4)ベトナムのX市内の日本語学習者を対象とした一日体験フェアの企画・運営を行った。BEVI による量的な調査から、BEVIの17の尺度のうち10の項目で有意に変化しており、たとえオンラインによる海外研修であっても参加学生に内面的な変化を促せることが明らかになった。そして、インタビューによる質的な調査からは、学生達の価値観や経験に揺さぶりをかけることの大切さ、学生同士のやりとりに教員が介入しすぎないことの重要性が確認された。