- 著者
-
米本 和弘
- 出版者
- 公益社団法人 日本語教育学会
- 雑誌
- 日本語教育 (ISSN:03894037)
- 巻号頁・発行日
- vol.178, pp.200-214, 2021-04-25 (Released:2023-04-26)
- 参考文献数
- 20
本稿では,東京の大学の大学院留学生対象初級日本語コースで行った,「自助力」向上を目指した防災学習活動を通して,留学生がどのような経験をし,何を得たのか,実践の記録,および留学生と実践者の振り返りをもとに報告する。具体的には,従来の防災学習における課題を乗り越えるために提示されたGLIモデル(光原,2018)を応用し,1)東日本大震災のドキュメンタリー映画視聴,2)日本の自然災害についての読解活動,3)防災館における体験学習,4)学内でのフィールドワーク,5)学外でのフィールドワーク,6)防災に関する情報の発信,という流れで実践を行った。本活動の効果として,1)自然災害の基本的かつ実用的な情報をリアルに伝えることができたこと,2)自然災害に関する日本語を効果的に学習する場を提供できたこと,3)自然災害を自分ごとと捉え,自分の身を守る必要性に対する意識に働きかけることができたことが挙げられる。