- 著者
-
野口 麻穂子
- 出版者
- 国立研究開発法人森林総合研究所
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2014-04-01
斜面崩壊が冷温帯林の更新初期過程に果たす役割を明らかにするため、2013年8月の大雨に由来する斜面崩壊跡地と、隣接する未攪乱の林床で実生の動態を調べた。2014年に定着した実生は、複数の林冠構成種において斜面崩壊跡地に多く、斜面崩壊による地表攪乱が定着を促進していることが示された。小型の種子を持つスギとウダイカンバの実生は、斜面崩壊跡地でのみ認められたが、落下種子量が少なく、実生の生存率も低かったことにより、優占には至らなかった。また、斜面崩壊跡地内では、攪乱タイプ(発生域、流走域、堆積域)の違いが、土壌の水分条件を介して実生の成長と植生回復のプロセスに影響を及ぼしていることが示唆された。