著者
池辺 寧
出版者
奈良県立医科大学医学部看護学科
雑誌
奈良県立医科大学医学部看護学科紀要 (ISSN:13493884)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.33-42, 2015-03

ハイデガーが技術の本質を問うとき、医療技術を取り上げることはあまりない。しかし、人間の生に深く関わる医療技術を取り上げずに、技術の本質を問うことはできない。そこで本稿では、医療技術の観点からハイデガーの技術論を捉えなおし、以下のことを論じた。医療技術の本来の目的は健康の維持・回復にある。この目的が達成されると、医療技術はいわば消失する。ところが、現代はこの目的を逸脱し、医療技術がピュシスに取って替わり、人聞が自己自身を技術的に製作しかねない時代である。ハイデガーは現代技術の本質を、すべてのものを役に立つものへと収斂させていく点に見出し、ゲシュテル(総かり立て体制)と名づけた。現代においては、人間もまた、それぞれ独自の身体を生きることが看過され、取り替え可能な断片や人的資源とみなされている。ハイデガーは医療技術について断片的にしか言及していないが、医療技術の今後の動向も考慮している。Bei dem Fragen nach dem Wesen der Technik beschäftigt sich Heidegger nicht viel mit derärztlichen Kunst. Man kann jedoch nach dem Wesen der Technik fragen nicht, ohne dass man sichmit der ärztlichen Kunst beschäftigt. Denn sie steht in enger Beziehung zu dem Leben desMenschen. In dieser Abhandlung behandle ich also den Technikbegriff bei Heidegger unter demGesichtspunkt der ärztlichen Kunst. Der eigentliche Zweck der ärztlichen Kunst ist die Erhaltungund Wiederherstellung der Gesundheit. Wenn dieser Zweck erreicht wird, verschwindet dieärztliche Kunst gleichsam. Aber in dem heutigen technischen Zeitalter kann die ärztliche Kunst diephysis ersetzen, und der Mensch kann sich selbst eines Tages technisch herstellen. Weil diemoderne Technik alles in den Bestand aufnimmt, bezeichnet Heidegger ihr Wesen als das Ge-stell.In unserer Zeit wird auch der Mensch zum auswechselbaren Stück und Menschenmaterial, obwohljeder Leib je mein Leib ist. Heidegger spricht nicht viel von der ärztlichen Kunst. Aber er denktauch über die Zukunft der ärztlichen Kunst nach.
著者
秋吉 久美代
出版者
奈良県立医科大学医学部看護学科
雑誌
奈良県立医科大学医学部看護学科紀要 (ISSN:13493884)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.77-84, 2015-03

アロマテラピーの看護研究は増加しており、関心の深さがうかがえる一方で、看護師は精油を選択することに困難を感じている。この原因のひとつに、アロマテラピーの効果には様々な要因が影響しており統一した見解が得難い現状があると考える。それらの要因のひとつである個人的要因の嗜好と精油成分の作用が、リラックス効果に与える関係について調べた。対象者は、男性12名、女性54名。年齢46.3±10.51歳。対照群と実験群とに分け対照群には精油を付着していない試香紙を実験群には、ラベンダー精油、サイプレス精油、ベルガモット精油のいずれかを付着した試香紙を嗅ぐ群を設定した。それらを嗅ぐ前後に、気分の変化を心理的指標の日本語版POMS™短縮版を用いて調べた。分析はSPSS19.0でKruskal-Wallis検定とWilcoxonの符号付順位検定をおこなった。結果、アロマテラピーのリラックス効果は、個人的要因の嗜好と精油成分が関係していることが示唆された。