著者
佐々木 大輔
出版者
市立札幌大通高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

【研究目的】本研究では、テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム(以下、「TRPG」)というコミュニケーションゲームを利用して社会的スキルトレーニングをおこなうことの展望を確認する。本研究では、定時制高校の生徒がTRPGに参加した際、ゲーム中にどのように意識して普段とは異なるコミュニケーションをおこなっているかを確認した。また、TRPGがキャリア教育の一環として授業に組み込むことができるかどうかを確認するため、教員が一緒にゲーム参加した場合、それらの意識がどのように変化するのかも確認した。【研究方法】計4回のTRPG体験会において、終了後に質問紙調査をおこなった。参加者は合計64名。また、そのうち14名が教員と同じ卓でゲームに参加した。ゲームに対する面白さ、および、社会的スキルの4側面(反応読解、反応決定、感情統制、反応実行)について、普段と比較してどの程度実践できたかを5件法で質問した。また、これらを教員が参加した場合としなかった場合の両方を想定させて質問した。【研究成果】面白さは教員卓のとき教員不在想定時に低く、教員と一緒だと面白さを教員に帰属してしまうことが明らかになった。対人目標決定は教員卓のとき教員同席想定時に高く、教員と一緒だと、何をすればいいかは教員が一緒の方がわかりやすいと考えることが明らかになった。対人反応実行では教員卓のとき教員同席想定時に高くなることから、教員と一緒だと伝えようという努力を教員が一緒の方がしやすいと考えることが明らかになった。以上のことから教員の同席による否定的な効果は確認されず、促進する効果が確認されたため、キャリア教育の一環として授業に組み込むことが可能であることが示された。