- 出版者
- 思文閣出版
- 巻号頁・発行日
- 1997
まえがき / 山田 慶兒, 栗山 茂久 序論に代えて 日本医学事始 : 予告の書としての『医心方』 / 山田 慶兒 I 病の中の歴史 肩こり考 / 栗山 茂久 はじめに 1 痃癖 2 滞りの病理学 3 揉まれる凝り 4 身体感と時間感 疝気と江戸時代のひとびとの身体経験 / 白杉 悦雄 はじめに 1 医学理論のなかの疝気 2 経験された疝気 3 信仰と身体観 おわりに 狐憑きの心性史 / 昼田 源四郎 はじめに 1 憑依するものの時代的変遷 2 憑依の形態 3 憑依の両義性 4 憑依がはたした機能 5 狐憑きの今後 おわりに II 日本の医学へ 劉医方という誤解 : 江戸前期医学史をとらえるための一視点 / 石田 秀実 はじめに 1 富士川游による日本中世医学史の枠組 2 劉医方とは何だったのか 3 饗庭東庵学派の系譜 4 饗庭東庵学派の医学を窺う資料 結論 三帰と道三 : 曲直瀬流医学の形成 / 桜井 謙介 はじめに 1 三帰の能毒 2 三喜と三帰 3 考察 後藤艮山の医学について / 梁 嵘 1 艮山医学の枠組 2 艮山の医学の歴史的背景 3 艮山の医学革新と残した考え 目医師達の秘伝書と流派 / 奥沢 康正 1 眼科秘伝書の概略 2 1500年代の眼科秘伝書の特徴 3 手術器械図譜を記載した秘伝書・眼科書の特徴 むすび III 四海を超えて 「紅毛流外科」の誕生について / ヴォルフガング・ミヒェル はじめに 1 「魂には祈りを、身体には薬を」――西洋医学との最初の出会い 2 衰退の後 3 隔離と接近 4 カスパル・シャムベルゲルとカスパル流外科 5 シャムベルゲル以降 結び 近世前期朝鮮医薬の受容と対馬藩 : 医学書・薬種・医師について / 田代 和生 はじめに 1 医学書 2 薬種 3 医師 結び 江戸期渡来の中国医書とその和刻 / 真柳 誠 はじめに 1 渡来中国医書の検討 2 和刻中国医書の検討 3 中国医書の渡来と和刻の比較検討 4 渡来中国医書の伝承と逆伝 まとめ IV 診ることと癒すこと 初期腹診書の性格 / 廖 育群 1 初期腹診書のテキスト 2 各書の構造と特徴 3 討論 看護人の系譜 / 新村 拓 はじめに 1 小石川養生所の「看病人」 2 長崎養生所の「看病人」 3 病院の「看頭」 4 看病・看護・介抱・付添の関係図式 プラセボの日本受容 : Placeboはのりと薬だ / 津谷 喜一郎 はじめに : プラセボにたいする否定的な見方 1 Placebo=偽薬が日本で引き起こしている問題――インフォームド・コンセント取得において 2 プラセボにかんする研究略史 3 日本におけるplaceboのコンセプトと用語の導入 4 東洋の医学の歴史から見ると おわりに V 体内の風景 17、18世紀の日本人の身体観 / 酒井 シヅ はじめに 1 日本古来の身体観 2 和漢書の人体内景図 3 江戸初期の身体観 4 17世紀の西洋医学の影響 5 紅毛外科書の身体観 6 西洋解剖書の翻訳 7 山脇東洋の観蔵 8 『解体新書』の影響 結語 医学において古学とはなんであったか : 山脇東洋の解剖学と職業および学問としての医の自立 / 山田 慶兒 1 山脇東洋の医学史上の位置 2 人体解剖の動機 3 復古主義と徂徠学 4 『周礼』と医学の理念 5 周漢の遺法と張仲景 6 医学理論への批判 7 医学の実践の道 8 九藏説と観藏 9 職業および学問としての医学 人体内景図の脂曼・脂膜について / 高島 文一 はじめに 1 中国の人体解剖図 2 解剖図の中の脂曼・脂膜 3 東洋における膵臓の認識 4 近世解剖図の脾胃膵の位置 5 中国の内景図で脂曼・脂膜の記載の無いものについて むすび 江戸時代 : 解剖の事跡とその反響 / 杉立 義一 1 東洋観蔵の意義 2 江戸時代における解剖の事跡と反響 VI もうひとつの医学 日本密教医学と薬物学 / 二本柳 賢司 1 密教事相としての五宝・五薬・五香 2 五薬各種の医学的分析 3 五香の薬学的分析 4 密教医学と丹薬 5 外丹方と内丹法の関係 6 内外護摩法と内外丹方の関係 西チベット、ラダックにおける病いと治療 / 山田 孝子 はじめに 1 アムチam-chiの医学 2 村人にとっての病い 3 村人の信仰と病い 4 病者を治療者として社会化できる疾病観 おわりに ふたつの「預言者の医術」 / 三木 亘 はじめに 1 「預言者の医術」とは? 2 イスラム法というもの 3 伝承の性格 4 ふたつの「預言者の医術」 『斉民要術』のなかの家畜の病 / 小林 清市 はじめに 1 家畜の病をめぐる状況 2 『斉民要術』のなかの家畜の病むすびにかえて 執筆者紹介