著者
松井 利幸
出版者
愛知教育大学体育教室
雑誌
愛知教育大学体育教室研究紀要 (ISSN:02884712)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.37-45, 1994-03-02

本研究は、学校五日制が児童生徒の疲労にどのように影響するかについて明らかにすることを目的とした。文部省の学校五日制のための調査研究協力校である愛知県下郡部に位置する足助小学校、足助中学校を実験校とし、名古屋市内の1小学校1中学校を対照校とし、それぞれの児童生徒を対象に、1990、1991年の2年にわたって、疲労自覚症状調査を実施し、比較検討した。〔小学校について〕1)疲労自覚症状訴え項目数を全体的にみた場合、実験校対照校とも、2年目に大きな増減は認められなかった。2)しかし、疲労症状を分野別にみた場合、2年間であまり変化のみられなかった対照校に較べて、実験校の児童は、「眠けとだるさ」分野の平均訴え項目数が増加し(2.2→3.8項目)、逆に、「注意集中の困難」分野のそれが減少した(3.8→2.9項目)。3)具体的には、実験校は、<横になってねたい>及び<口の中がかわ<>の有訴率が約10%増加、逆に、<考えるのがめんどくさい>、<きちんとしていられない>及びくちょとしたことが思い出せない>の「注意集中の困難」分野の有訴率がすべて50%台から40%台に減少した。4)同様に、実験校の初年度では、「注意集中の困難」分野に最も多い項目数を訴えていたものが約5割と多かったが、2年目は、「眠けとだるさ」分野に6割以上のものが占めるという、疲労内容の大きな変化が認められた。一方、対照校では、両年度とも「眠けとだるさ」分野に占める割合が7、8割であり、大きな変化はみられなかった。〔中学校について〕1)実験校の疲労自覚症状訴え項目数は、全体としてみた場合、対照校と比較して、2年目に顕著に増加した。これを分野別平均訴え項目做でみた場合、「眠けとだるさ」分野が3.6から4.3項目に、「注意集中の困難」分野が1.9から2.6項目にと、ともに増加した。2)分野別にみた訴え上位項目の有訴率は、そのほとんどの項目において、対照校より実験校の方が高率となった。具体的に約10%以上有訴率が増した項目は、<ねむい>、<横になってねたい>、<考えるのがめんどくさい>及び<いらいらする>であった。3)3分野間で最も多くの疲労項目数を訴えていたものは、「眠けとだるさ」分野の約8割であり、この割合は実験校対照校とも、かつ、両年度とも差は認められなかった。4)2年目の実験校は、それぞれの分野において、訴え項目数が増加したものの割合が最も多かったのに対して、対照校では、逆に、3分野とも訴え項目数が減少したものの割合が最も多く、この相反する結果は統計的に有意な差とたった。以上、本調査での学校五日制試行が児童生徒の疲労自覚症状に及ぼす影響は、小学校児童については、量的には大きな変化は認められなかったが、質的には、いわゆる精神的疲労感を減少させ、モの分、身体的疲労感を増す方向にあり、また、中学校生徒については、質量ともに疲労感を増大させる結果を示した。しかし、この結果は、小中学校の学校種の違い、地域の特性、さらに大きくは、学校ごとに異なる学校五日制への取り組みの違いによって、著しく差が生じたものと考えられる。1992年9月以来、制度上、学校五日制は月1回実施に移され、今後どれ程まで拡大されていくのか定かではないが、制度面のみならず、各学校の対応も含めて、児童生徒並びに教職員の"健康"という視点での検討は緊要である。
著者
筒井 清次郎
出版者
愛知教育大学体育教室
雑誌
愛知教育大学体育教室研究紀要 (ISSN:02884712)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.41-45, 1987-03-04

This study intended to clarify the relationships between the change of track and field record and learned helplessness. In this study one's perception that track and field record is not improving or declining instead of effortfull training is equivalent to perception of responseoutcome noncontigency in learned helplessness theory. The questionnaire was constructed according to the model of reformulated LH theory by Abramson et al and adapted for track and field athletes from questionnaire by Hosaka et al. The subjects were five hundred and seventy-seven college athletes (male n = 401, female n=176). All of them were athletes who had experience track and field not less than three years. The data were analysed by the 2 (perception of contigency and positive future expectation: perception of noncontigency and negative future expectation) X 2 ( attribution to internal and stable factor: attribution to the other factors) X 2 ( sex) ANOVA. The main results are as follows: 1. The athletes who perceived their own record change as not improving or declining ( noncontigent) and had negative future expectation showed lower intrinsic motivation for track and field, lower athletic motivation and higher helplessness in personality than athletes who perceived their own record change as improving( contigent) and had positive future expectation. 2. The athletes who attributed the cause of their record change to internal and stable factor seemed to show higher intrinsic motivation for track and field than athletes who attributud it to the other factors.
著者
吉田 正 氏原 隆
出版者
愛知教育大学体育教室
雑誌
愛知教育大学体育教室研究紀要 (ISSN:02884712)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.17-25, 2000-03-10

本研究では、ビジョントレーニングを実施した選手の心理的内面にどのような変化が起こったのかを検討し、合わせてビジョントレーニングがバレーボールのパフォーマンス向土にどのような影響を与えるかという目的で、本学女子バレーボール選手4名を被験者とし、約2ヵ月のトレーニングを行ない、次のような結果を得た。(1)ビジョントレーニング前と後の視機能変化において、KVA動体視力、DVA動体視力については改善がみられた。また、ビジョントレーニングの数字読みトレーニングのタイムに向上がみられた。(2)トレーニング期間中の試合での 1)スパイク決定率 2)ブロック成功率 3)サーブレシーブ返球率 4)スパイクレシーブ返球率などのパフォーマンスについては、大きな変化はなかった。(3)内省報告においては、4名の被験者すべて、ビジョントレーニングがバレーボールに必要ということを認め、確実にプレーがプラスに変化してきたことを報告した。