著者
渡辺 研 日比野 啓一 本田 富義 熊谷 禎晃 森 一耕
出版者
愛知県環境調査センター
雑誌
愛知県環境調査センター所報 = Bulletin of Aichi Environmental Research Center (ISSN:21864624)
巻号頁・発行日
no.45, pp.19-24, 2018-03

2011年3月,東京電力福島第一原発事故により,人工放射性核種が環境中に放出された。愛知県が実施している環境放射能水準調査においても,土壌,大気浮遊じん及び降下物から,自然放射性核種と比較して十分低い放射能濃度ではあるが,人工放射性核種の134Csや131Iが検出され,事故由来物質の本県への到達が推定された。今回,本県内における環境放射能レベルを把握し,原発事故の影響を評価するために,2013年度から2016年度にかけて,県内全域を網羅し,かつ環境放射能水準調査の地点を含む計24地点の土壌調査を実施した。その結果,本県東部に位置する東三河地域の調査地点において,自然放射性核種と比較して十分低い放射能濃度ではあるが,原発事故由来と推定される人工放射性核種を検出し,さらに,その地理的な分布状況を把握した。この人工放射性核種が検出された領域は,WSPEEDIによる137Csの積算沈着量の試算結果が示す領域とよく整合していた。
出版者
愛知県環境調査センター
雑誌
愛知県環境調査センター所報 = Bulletin of Aichi Environmental Research Center (ISSN:21864624)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-6, 2011-03

本研究は、浮遊粒子状物質(SPM)の発生源の一つとして考えられる固定発生源(ばい煙発生施設)のばいじん粒子に関する形状及び元素組成データを集積することを目的とした.ばいじん試料は、ボイラー、金属精錬施設、金属加熱炉、廃棄物焼却炉及びディーゼル機関において採取し、その形状及び元素組成を走査型電子顕微鏡及びエネルギー分散型蛍光X線解析装置を用いて解析した.ばいじん粒子の形状は、大きく5種類に分類することができ、表面に凹凸がある細かい粒子の塊のような形状がもっとも多く観察された.また、元素組成解析の結果、ばいじん粒子の主成分はばい煙発生施設ごとだけでなく、燃原料の種類によっても異なることが示された.SPMの発生源寄与率をケミカルマスバランス法で算出する場合、本研究で示された元素組成も用いることができるが、ばい煙発生施設の燃原料ごとに解析を行う必要があることが示唆された.
出版者
愛知県環境調査センター
雑誌
愛知県環境調査センター所報 = Bulletin of Aichi Environmental Research Center (ISSN:21864624)
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-6, 2009-03

光化学オキシダント(Ox)高濃度時の一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、非メタン炭化水素(NMHC)濃度の特徴を明らかにするために、愛知県で測定した常時監視データ等を用いて解析を行った。2007年5月から9月のうち、Oxが高濃度となった一定範囲の気象条件の日を解析対象日とし、局ごとに全ての解析対象日を平均した値(局ごとの特徴)と、日ごとに全局を平均した値(日ごとの特徴)を調べた。朝方(6-9時)のNO2やNMHC濃度の平均値と朝方のOx濃度平均値やOx濃度増加量との間に日ごとの特徴では正の相関があったが、局ごとの特徴では正の相関が見られなかった。一方、朝方のNO濃度の平均値と朝方のOx濃度の平均値について局ごとの特徴では負の相関があったが、日ごとの特徴ではこの相関が見られなかった。これらのことから、朝方の高濃度のNOは局所的な朝方のOx濃度を下げており、朝方の高濃度のNO2やNMHCが、広域的にOx濃度を上げていることが示唆された。
著者
山野内 隆英 林 博之 伊藤 勝巳 佐藤 公喜
出版者
愛知県環境調査センター
雑誌
愛知県環境調査センター所報 = Bulletin of Aichi Environmental Research Center (ISSN:21864624)
巻号頁・発行日
no.38, pp.7-16, 2011-03

愛知県における光化学スモッグの監視に資するために、オキシダント濃度の日最高値の重回帰分析による推定を試みた.2006年から2008年の県内日最高値を示したことのある44局について重回帰分析を行った.年ごとの監視体制強化期間の全データによる回帰係数を、当該年へ適用した場合の相関は低く、2007年が最も低かった.このため、2006~2008年の複数年のデータを季節変化に対応した期間で分割して、期間ごとに回帰係数を求め、対応する期間のデータに適用した.得られた回帰係数による推定値は、2006~2008年のデータに対しては比較的相関が高かったが、2009年のデータでは低い相関であった.2009年の推定値と実側値との誤差の大きい日について、天気図や気象状況等を解析したところ、午前と午後の気象状況が大きく変化する日が多かった.相関の低かった2007年はラニーニャ現象、2009年はエルニーニョ現象が起きており、梅雨の期間等の状況が平年と異なっていた.このため、期間分割の方法の見直しや天候の日間変動を見込んだ係数の選択を行う必要があると考えられた.