著者
多賀谷 昭
出版者
日本放射線看護学会
雑誌
日本放射線看護学会誌 (ISSN:21876460)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.57-61, 2018-03-31 (Released:2018-10-24)
参考文献数
15

The word “hibaku,” written as “被曝,” is used in Japan to mean “exposure to radiation”; however, “被曝” in China means “being revealed.” The literature indicates that “被曝” was first introduced at an annual meeting of X-ray technicians in 1950 and circulated to various sectors by 1955. Chinese words such as “曝露” and “曝射” had been used for the same uses and purposes before then. Most likely, “被曝” was created to draw attention to the risk of occupational exposure to radiation, making use of its phonetic equality and notational similarity to “被爆” (exposure to the atomic bomb). While “被曝” has achieved great successes in drawing public attention to the risk of radiation exposure, as well as linking “被曝者” (“hibakusha” as the victims of nuclear experiments and accidents) and “被爆者” (“hibakusha” as the survivors of the atomic bomb), the perception of “被爆” linked to it has become a psychological obstacle to radiation therapy. Therefore, the use of “被曝” as a scientific term for radiation exposure and use of the ambiguous notation “被ばく” by scientists and professionals may need reconsideration.
著者
船木 沙織 城丸 瑞恵
出版者
日本放射線看護学会
雑誌
日本放射線看護学会誌 (ISSN:21876460)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.43-51, 2018-03-31 (Released:2018-10-24)
参考文献数
17

本研究は原爆傷害調査委員会(以下:ABCC)に勤務していた看護婦および医師の証言から、広島ABCC設立草創期の健康調査および健康診査における看護活動を明らかにすることを目的とした。研究方法は広島ABCCで勤務していた元ABCC日本人医師1名、看護婦3名を対象に半構造化面接を実施し、オーラルヒストリー法を用いて証言を分析した。結果、健康調査、健康診査における主な看護は診療の介助であったが、各診療科では健康調査の目的や調査概要によって重要とされる視点に基づき、看護を実施していたことが示唆された。また、調査研究機関として精密なデータを収集するという役割があり、被爆者に対する言動や調査方法に配慮した看護が行われていたことが明らかとなった。ABCCの活動に対して被爆者から否定的な言動もみられたが、被爆者の感情に配慮した看護活動は、健康調査および健康診査に対する緊張を緩和する重要な役割があったと考える。
著者
辻口 貴清 三上 純子 坂本 瑞生 小倉 巧也 小山内 暢 井瀧 千恵子
出版者
日本放射線看護学会
雑誌
日本放射線看護学会誌 (ISSN:21876460)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.14-19, 2021-06-30 (Released:2021-06-30)
参考文献数
11

高度被ばく医療支援センターや原子力災害拠点病院は、自施設の全職員に対して原子力災害時医療の教育研修を定期的に実施することが義務付けられている。研修内容の設定や外注職員を含む病院全職員への周知が難しいというのが現状であるが、被ばく医療教育の啓蒙や高受講率化へ向けた各機関の努力は必須である。弘前大学は平成27年8月に高度被ばく医療支援センターに指定されて以降、年に複数回の原子力災害医療に係る院内基礎研修を開催しており、令和2年2月現在で全職員の約8割が受講済となっている。本稿では高受講率化に向けた本学の取組および研修内容等を詳細に報告する。
著者
吉田 浩二
出版者
日本放射線看護学会
雑誌
日本放射線看護学会誌 (ISSN:21876460)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.122-127, 2020-12-31 (Released:2020-12-31)
参考文献数
13

医療や産業分野における放射線・放射性物質の需要が拡大する一方で、それらからの被ばくのリスクは益々増大する。看護職は医療や地域において、放射線被ばくを受けた患者や住民のケアを行うが、放射線教育が充実していないため、必ずしも放射線の知識を有しているわけではない。本稿では、過去に大規模な原子力災害を経験したベラルーシ共和国の医療系大学を訪問し、放射線教育構築に向けた示唆を得たので報告する。
著者
小磯 京子 木下 直彦 本間 美知子 度會 裕子 淡島 正浩 瀧口 徹
出版者
日本放射線看護学会
雑誌
日本放射線看護学会誌 (ISSN:21876460)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-21, 2020

<p>背景および目的:福島第一原発事故のため県外避難生活を余儀なくされた被災者のストレス度を評価した。</p><p>方法:被災者心理関連の34指標(ST34)による無記名自記式調査を行った。主観的ストレスの震災直後と3年後をVASで定量化し、それぞれを目的とする重回帰分析を行った。説明変数はST34および因子分析で抽出した11因子とした。</p><p>結果:回答者総数は859名(回収率21.0%)、ST34のCronbachのαは信頼性の目安0.8を満たした。ST34ごとの重回帰分析では引越のみがストレス減少を示した。11因子では、震災直後の増加要因は、人間関係変化と引越、病気・ローンの各因子が有意であった。</p><p>考察:大災害時には人生における一般的なライフイベントと異なり近親者の死亡、家屋等の崩壊などの非日常事象がほぼ同時に発生する。このため重大イベントの重なりにより主観的ストレス度は相加的に増大することが確認された。</p>