著者
船木 沙織 城丸 瑞恵
出版者
日本放射線看護学会
雑誌
日本放射線看護学会誌 (ISSN:21876460)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.43-51, 2018-03-31 (Released:2018-10-24)
参考文献数
17

本研究は原爆傷害調査委員会(以下:ABCC)に勤務していた看護婦および医師の証言から、広島ABCC設立草創期の健康調査および健康診査における看護活動を明らかにすることを目的とした。研究方法は広島ABCCで勤務していた元ABCC日本人医師1名、看護婦3名を対象に半構造化面接を実施し、オーラルヒストリー法を用いて証言を分析した。結果、健康調査、健康診査における主な看護は診療の介助であったが、各診療科では健康調査の目的や調査概要によって重要とされる視点に基づき、看護を実施していたことが示唆された。また、調査研究機関として精密なデータを収集するという役割があり、被爆者に対する言動や調査方法に配慮した看護が行われていたことが明らかとなった。ABCCの活動に対して被爆者から否定的な言動もみられたが、被爆者の感情に配慮した看護活動は、健康調査および健康診査に対する緊張を緩和する重要な役割があったと考える。
著者
斉藤 沙織 城丸 瑞恵
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.551-556, 2013-08-31 (Released:2013-10-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

カテコラミン製剤のシリンジ交換は,循環動態に影響を及ぼすことがあり,緊張度の高い手技でありながらもスムーズに行う必要があるため,適切な交換方法についての検討が必要と考える。その基礎資料とするため,本稿ではシリンジ交換に関する研究動向を明らかにした。医学中央雑誌を用いて,「シリンジポンプ」「カテコラミン」をキーワードとし,解説を除外した原著論文15 件を対象として内容を分析した。結果は,【医療機器の特性】,【シリンジ交換方法】に大きく分類され,さらに【シリンジ交換方法】は,「シリンジ交換手技」と「シリンジ交換方法の比較検証」に分類された。これらの結果からシリンジ交換方法について,現在まで推奨される方法はいくつかあるが,一般的に標準化されるまで至っていないことが明らかになった。
著者
佐藤 幹代 高橋 奈津子 濱 雄亮 城丸 瑞恵 本間 真理 佐藤 りか (佐久間 りか) 射場 典子 別府 宏圀
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、慢性の痛みを患う人や家族に面接調査を行い、わが国の文化、社会、保健医療福祉制度背景を踏まえた身体的・精神的・社会的苦悩の体験世界や疼痛対処および医療者-患者・家族の相互理解のありかたを探究する。「慢性の痛みの語りデータベース」を構築する(https://www.dipex-j.org/chronic-pain/)。これらは慢性痛に関する看護学、医学、社会学、保健福祉医療分野における教育および、研究資源として期待できる。
著者
田口 裕紀子 城丸 瑞恵 澄川 真珠子 成松 英智
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.481-492, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
18

背景・目的:プレホスピタルケアは救急患者の転帰を左右するため,救急救命士には資格取得前から取得後も病院実習が義務づけられている。実習項目は看護から習得できるものが多く,指導医師の不足などから看護師が実習指導に携わる施設は多い。そこで看護師による救急救命士の病院実習指導の現状を明らかにするため質問紙調査を行った。方法:救急救命士の病院実習指導に携わる全国の救命救急センターに勤務する看護師490名に質問紙調査を実施。結果:実習教育プログラムがない,または不明確と認識している者は63.8%,実習の説明を受けていない者は69.2%であった。また,救急やプレホスピタルに関する資格・経験がない者は実習指導について十分に把握していない傾向にあった。考察:救急救命士の病院実習の充実化のためには,指導に携わる看護師が実習目標や指導内容を把握できるような体制整備や臨床経験の少ない者への支援など実習指導体制構築の必要性が示唆された。
著者
鈴木 ゆか 城丸 瑞恵
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.67-75, 2015 (Released:2017-04-05)
参考文献数
18

クリティカルケア領域において患者の命に関わる気管チューブの自己抜管予防は重要課題である。しかし自己抜管体験者としての看護師に生じる感情、行動などに着目した研究は十分ではない。本研究では自己抜管を体験した看護師が抱いた感情、さらにその後の行動変化について明らかにすることを目的とした。関東圏内A病院のクリティカルケア領域の看護師7名に半構造化面接を行い分析した。 その結果、自己抜管を体験して起こった感情として、【自己抜管事例を体験した衝撃と恐怖】、【自己抜管事例を起こした自分に対する不信感】、【自己抜管予防は不可能という感情】、【患者は信じてはいけないという感情】の4カテゴリーが生成され、自分と患者・スタッフに対して不信・怒り・諦念などの感情を抱くことが明らかになった。体験した自己抜管事例に対する問い直しとして【援助の適切さに対する自分自身の問い直し】、【他者からの言葉による問い直し】、【仕事環境に対する問い直し】、【自己抜管原因を探求した問い直し】の4つが生成され、実施した援助の問い直しを行うことで、体験を消化する過程がみられた。自己抜管事例体験後の行動変化として、【予防に重点をおいた援助への変化】、【アセスメントする視点の変化】、【チームで協力しようとする行動への変化】の3つが生成された。研究参加者は一連の過程を通して多くの学びを得たことが伺われ、リフレクションが有用である可能性が示唆された。
著者
大木 友美:筆頭著者 水谷 郷美 城丸 瑞恵
出版者
昭和大学保健医療学部
雑誌
昭和大学保健医療学雑誌 (ISSN:1349029X)
巻号頁・発行日
no.10, pp.45-49, 2012-08

A看護系大学では、成人看護学実習(周手術期)における学生の学びを深め共有させるために、15日間ある実習期間中の10日目に学内でデモンストレーション(以下デモ)「個別性を活かした看護援助」を実施している。今回、2010年9月~2011年1月に実施した学生102名に質問紙調査を行い、「デモ実施までの準備状況」「デモでの学び」「デモの必要性」「デモ実施の困難性」などについて回答を求めた。結果、準備状況については多くの学生がデモ前に周手術期の看護ケアを経験する機会を得ていた。デモによる学びは約9割の学生が実感していたが、実習期間中にデモが必要であると答えた学生は約4割にとどまった。デモ実施の困難性については、「とても難しい」と答えた学生が3%、「やや難しい」が38%、「簡単」が4%、「どちらとも言えない」が56%であった。「とても難しい」「やや難しい」と答えた群(以下A群)と、「簡単」「どちらとも言えない」と答えた群とで、デモ実施までの準備期間を比較したところ、A群のほうが有意に長かった。