著者
秋山 仁志 坂元 麻衣子 赤間 亮一 安藤 文人 髙橋 幸裕
出版者
日本歯科医学教育学会
雑誌
日本歯科医学教育学会雑誌 (ISSN:09145133)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.27-34, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
9

抄録 日本歯科大学生命歯学部では, ICTを活用して最新の医療情報を収集, 分析, 評価する方法およびモラルに則って効果的に利用する技術や表現方法を含む能力を修得するため, 第1学年前期に歯科医療情報学実習を行っている. 第1学年学生は, G-suite, Moodleの利用方法, 情報倫理, 教育著作権, タッチタイプ習得, 画像処理法, データ分析, プレゼンテーション実践, 文書作成, ICTを用いた遠隔共同作業, インターネットによる歯科医学情報の収集を履修する. 「インターネットによる歯科医学情報の収集」 において, 第1学年学生はパソコンルームにて時間配分に従い与えられた5つの課題に対して初めて扱う医学中央雑誌Web (医中誌Web), PubMedを使用し, インターネットを利用して歯科医学情報を収集した. 学生は得られた情報と与えられた課題に適した文献1つを配布用紙に記載して提出した. 終了後に実施した学習後のフィードバックアンケートでは, 「インターネットによる歯科医学情報の収集の仕方が理解できた」 が98.4%, 「インターネットにより的確に調べることができると思う」 が94.6%, 「PubMedで文献を検索することができた」 が82.9%, 「医中誌Webを用いて文献を検索することができた」 が96.9%であった. 本実習により医中誌Web, PubMedを利用したインターネットによる歯科医学情報の収集は, 第1学年学生の歯科に対する意識の向上に有効であることが示唆された.
著者
竹内 義真 紙本 篤 古地 美佳 関 啓介 髙見澤 俊 宮崎 真至
出版者
日本歯科医学教育学会
雑誌
日本歯科医学教育学会雑誌 (ISSN:09145133)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.42-49, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
7

抄録 日本大学歯学部付属歯科病院 (以下, 当院) は, 島しょ地区の各診療所 (以下, 離島歯科研修施設とする) を研修協力施設に設定し, 離島歯科研修を地域歯科医療分野の歯科医師臨床研修プログラムに導入している. 各離島歯科研修施設では, 当院の指導歯科医および研修歯科医が2人1組を編成して, 島民のニーズに応じた地域歯科保健や歯科医療を目的に1週間の研修を実施している. 研修歯科医の研修では, 離島歯科研修終了後にポートフォリオ作成の一環として研修体験シート, 総括的自己評価シート, 研修歯科医診療・介補記録, 離島歯科診療における自己評価チェックリストを作成する. また, 指導歯科医も研修歯科医に対する評価チェックシートを作成する. 離島歯科研修が歯科医師臨床研修に有益であることは, 2007年に日本歯科医学教育学会雑誌で報告している. 今回は, 2009年から2018年の研修歯科医138名の既存データをもとに, 離島歯科診療における診療内容, 研修歯科医の自己評価と指導歯科医の評価の比較および研修体験シートと総括的自己評価シートの自由記載を, テキストマイニングツールにてテキストマイニングを行い分析した. その結果, 離島歯科研修は研修歯科医が地域社会における歯科の役割を理解し, 医療人としての人格を育てる機会となり, 生涯研修の第一歩となることが示唆された.