- 著者
-
竹松 志乃
- 出版者
- 明治大学教職課程
- 雑誌
- 明治大学教職課程年報 (ISSN:13461591)
- 巻号頁・発行日
- no.20, pp.21-33, 1998-03-20
20世紀もあとわずかのここ数年、われわれ教育関係者はこれまでになく、子どもと大人である自身のこころといのちを見つめざるえないような、大きな社会的事件に見舞われてきた。95年の阪神淡路大震災で注目されたPTSD(心的外傷後ストレス障害)やいじめが原因で漸増する小中高生の自殺企図者、そして97年に世間を震憾とさせた男子中学2年生による神戸小学生殺傷事件など…。同じく97年に一世を風靡した携帯ゲーム"たまごっち"やクローン羊の出現、脳死移植法案の制定、エイズ患者数の増大の現象などを見ても、「いのちを考える」「生命の尊厳」などのテーマが、あたかも時代のコンステレーション(布置)であるかのように、次々に提示され、われわれに大きく重いテーマを突きつけてきた。また、その度に学校教育のなかで"いかに子どもたちにいのちの大切さを教えるか"、マスコミを中心にさまざま論議されてきた。