著者
竹松 志乃
出版者
明治大学教職課程
雑誌
明治大学教職課程年報 (ISSN:13461591)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.11-24, 2002-03-20

教師は学問を教え広める頭脳労働者であると同時に、生徒の人格の成長過程にさまざま直接関わり合う、大変やりがいはあるが、その分ソフト面でも感性や専門能力を厳しく問われる仕事である。また生徒たちの保護者や地域住民、他機関との関わり合いや、校内でも同僚や管理職、事務職などとの人間関係も、職務を円滑に推進するうえで大切な要件となることも多く、さまさまで重層的な対人関係にもうまく対処しなければならない職場環境にある。そういう意味では、かつてILO(国際労働機関)が、教師は戦場に戦う兵士並みのストレスを負っている、と警告したように、教師は職務上、さまさまな対人関係を調整しつつ、精神的に高いストレスを抱えて生きさるを得ない宿命にあるといえる。
著者
竹松 志乃
出版者
明治大学教職課程
雑誌
明治大学教職課程年報 (ISSN:13461591)
巻号頁・発行日
no.20, pp.21-33, 1998-03-20

20世紀もあとわずかのここ数年、われわれ教育関係者はこれまでになく、子どもと大人である自身のこころといのちを見つめざるえないような、大きな社会的事件に見舞われてきた。95年の阪神淡路大震災で注目されたPTSD(心的外傷後ストレス障害)やいじめが原因で漸増する小中高生の自殺企図者、そして97年に世間を震憾とさせた男子中学2年生による神戸小学生殺傷事件など…。同じく97年に一世を風靡した携帯ゲーム"たまごっち"やクローン羊の出現、脳死移植法案の制定、エイズ患者数の増大の現象などを見ても、「いのちを考える」「生命の尊厳」などのテーマが、あたかも時代のコンステレーション(布置)であるかのように、次々に提示され、われわれに大きく重いテーマを突きつけてきた。また、その度に学校教育のなかで"いかに子どもたちにいのちの大切さを教えるか"、マスコミを中心にさまざま論議されてきた。
著者
竹松 志乃
出版者
明治大学人文科学研究所
雑誌
明治大学人文科学研究所紀要 (ISSN:05433894)
巻号頁・発行日
no.43, pp.29-52, 1997-12

"心理療法""カウンセリング"という言葉は、阪神大震災やオウム事件、神戸の小6児童殺害事件、いじめが原因の自殺者の増加など、世紀末といわれるここ数年に起こった一連の事件の報道などで、すっかり一般に馴染み深いものとなってきた。それは、いわゆる矯正や指導とは異なり、「心理的問題を扱うために専門的に訓練された治療者(カウンセラー)と、なんらかの問題を解決すべく援助を求めているクライエント(カウンセリー)とが"出会っていく"過程において、クライエントが自己理解を深め、より積極的かつ建設的な意志決定に基づいた、自分らしい生き方を歩んでいけるよう、主に言語的交流と人間関係を通して、治療者が心理学的に援助していく営み」である。