著者
西本 照真
出版者
武蔵野女子大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

平成11年度の研究実績の概要は以下のとおりである。1.歴史学的研究『隋唐五代墓誌〓編』(全30巻)中の墓石資料を調査した結果、澄心寺比丘尼優曇禅師が三階教僧であったことが明らかになった。なお、平成12年3月の西安一帯の墓碑調査の結果、同禅師の墓碑銘は昭陵博物館に保存されていることが確認された。2.文献学的研究(1)敦煌遺書北新1002号(『仏性観修繕法』)は首尾を欠いた写本であるが、筆者が三階教文献として注目していた北京8386が文献の後半部分を筆写した写本であることを特定した。このことにより『仏性観修繕法』の全文がよみがえったことになる。(2)敦煌本と本邦本と『三階仏法』の成立と伝播について、七寺写本の特徴も含めて明らかにした。3.思想史的研究昨年度から研究を続けていた『三階観法略釈』(P2268)の思想内容の分析を終え、同文献には華厳や禅の思想的の影響が見られること、成立は7世紀半ば以降であることなどを明らかにした。
著者
田中 教照
出版者
武蔵野女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

パーソナルコンピュータに市販のデータベース用ソフトウェア『INFORMIX』(アスキー社)を用いて, パーリ語文献(今回はVibhangaとVibhangaatthakath#)の有効なデータベース化について研究した. 研究は主に, 入力方法と検索方法とINDEX作成方法について検討した.入力方法については, 現存のテキストをそのままの形式で入力保存することを原則とした. 従って, テキストの頁・行を単位として入力する方法を採り, パーリ語の文単位や単語単位の入力法にしなかった. これは, 現テキストのレファランスがデータベースにおいても可能とするためである. 入力文字については, パーリ語のローマ字表記が現存のJIS規格キーボードでは不足するので, その点を, 長音表記は単音二語に置換するなど工夫した. 外字作成法は入力タッチも複雑になるので採らないことにした.データの検索法については, 『INFORMIX』の出力形式を自由設定するプログラム, ACEを用いて, 指定する言名, 章名, 頁行, 本文を自由に検索するよう, エディタを用いて "KENSAKU"という構文を作成した. これによって, テキストの頁のレファランスも可能であるし, 同時に単語の用例検索, パラレルパッセジの検索も容易になった.INDEXの作成法については, 保存されたテキストをそのまま使ってINDEXを直ちに作る方法を考えたINDEX作成には, 一単語ごとの入力が一番よいが, それは, 入力データの再活用が出来ないので採らなかった. ワイルドカードを用いた, 単語の検索によって得られた単語と頁行を一時ファイルに納め, そのファイルから単語順に並べて取り出す方法と採ることにした. 但し, 単語順は, パーリ語の単語順に出来ないので, 単語を置換せねばならない. また, すべての単語の検索を自動化するところまで至っていない. これらの点は今後の課題である.