著者
福井 幸太郎
出版者
立山カルデラ砂防博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

現在の日本の山岳には、多年性雪渓(万年雪)は存在するが、氷河は存在しないとされていた。本研究では、飛騨山脈剱岳の小窓雪渓、三ノ窓雪渓、立山の御前沢雪渓で氷体の厚さと流動の観測を実施した。その結果、各雪渓は厚さ30 m以上、長さ400~1200 mに達する巨大な氷体をもち、氷体は1ヶ月あたり5~30 cm流動していることが明らかになった。したがって、小窓,三ノ窓、御前沢雪渓は日本では未報告であった1年を通じて連続して流動する現存する「氷河」であると考えられる。