著者
有江 賢志朗 奈良間 千之 福井 幸太郎 飯田 肇
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

福井・飯田(2012)と福井ほか(2018)は,近年の小型化かつ高性能化した観測機器を用いて,氷厚の実測と流動観測をおこない,飛騨山脈北部に分布する御前沢雪渓,内蔵助雪渓,三ノ窓雪渓,小窓雪渓,カクネ里雪渓の6つの多年性雪渓が現存氷河であることを明らかにした.北アルプス北部には,氷河調査がおこなわれていないが,氷河の可能性が高い雪崩涵養型の多年性雪渓がいくつか存在する.そこで,本研究では,7つ目の氷河の可能性が高い唐松沢雪渓の氷厚と流速をGPR観測とGNSS測量により測定し,唐松沢雪渓の氷河の可能性について検討した.その結果,唐松沢雪渓では約30mの氷厚と流動現象が確認できた.
著者
澤柿 教伸 福井 幸太郎 岩田 修二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.163-178, 2005-03-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
85
被引用文献数
1 1

近年,あいついで惑星探査機が火星に到達し,地表面の詳細な数値標高データが得られたことから,地形の解析は飛躍的に進展した.火星表面の環境は,寒冷・乾燥を主な特徴とする「極地砂漠」であると言われ,地球上のアナロジーとして南極大陸のドライバレー地域に見られる地形が用いられている.また,これまで,火星表面の広範囲に水流の侵食を受けたと考えられる地形が認識されてきたことに加えて,寒冷環境の水に関わる地形として氷河や永久凍土に起因すると考えられる地形も多く確認されており,その詳細な形態も明らかにされつつある.しかし,水が流れた地形と氷が流れた地形に決定的な違いはあるのか,といった両者の判別に関する問題は,地球上の地形についても未解決の部分が多く,火星の地形の解釈に適用する際には注意を要する.雪氷の流れによって形成される,岩石氷河や岩屑被覆氷河などの地形の解釈についても,地球上の研究例を火星の地形に単純に当てはめるには問題がある.
著者
有江 賢志朗 奈良間 千之 福井 幸太郎 飯田 肇
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.124, 2019 (Released:2019-03-30)

はじめに 現在の飛騨山脈の気候環境では,降雪量が融解量を上回ることができない.そのため,飛騨山脈における氷河と多年性雪渓の分布は,吹きだまりやなだれの地形効果がある場所に限定される.樋口(1968)は,多年性雪渓の地形効果による涵養様式を雪渓の分布高度で分類しており,稜線からの標高差と分布高度が小さい雪渓を「吹きだまり型」,稜線からの標高差と分布高度が大きい雪渓を「なだれ型」,稜線からの標高差が小さく,分布高度が大きい雪渓を「混合型」とした.本稿では,「吹きだまり型」を「吹きだまり涵養型」,「なだれ型」と「混合型」を「なだれ涵養型」と呼ぶ. 質量収支の一般的な測定方法は,氷河や雪渓上に雪尺を打ち込み,1年後の雪面の高度変化を測る雪尺法が用いられる.しかしながら,日本の山岳地域は,膨大な涵養量と消耗量のため,雪尺が倒れてしまい実測できない.そこで,日本の多年性雪渓の質量収支観測では三角測量やトラバース測量がおこなわれている.観測実績のある雪渓は三角測量やトラバース測量の実測が可能な「吹きだまり涵養型」の小規模な多年性雪渓に限定されており,氷河を含む「なだれ涵養型」の多年性雪渓の質量収支は明らかでない. 本研究では,セスナ空撮とSfMソフトを使用し,2015~2018年の飛騨山脈北部の氷河と多年性雪渓の質量収支を算出し,「吹きだまり涵養型」と「なだれ涵養型」の違いを考察した.さらに,氷河の可能性が高い唐松沢雪渓において氷厚と流速を測定し,唐松沢雪渓の氷河の可能性について検討した.研究手法ⅰ)なだれ涵養型の氷河と雪渓の質量収支 飛騨山脈北部の立山連峰の「御前沢氷河」,「内蔵助氷河」,「三ノ窓氷河」,「小窓氷河」,「はまぐり雪雪渓」,「剱沢雪渓」,後立山連峰の「白馬大雪渓」,「カクネ里氷河」の8つの氷河と雪渓において,2015~2018年の春と秋に小型セスナ機からデジタルカメラで空撮を実施した.空撮画像と2次元の形状から3次元形状を作成するSfMソフトを用いて,多時期の高分解能の数値表層モデル(DSM)を作成した.これらDSMの比較から「なだれ涵養型」の氷河と雪渓の高度変化を算出した.ⅱ)唐松沢雪渓の氷厚と流動 後立山連峰の唐松岳の北東斜面に位置する「なだれ涵養型」の唐松沢雪渓において,2018年9月に,中心周波数100MHzの地中レーダー(GPR;GSSI社製)を使用し,雪渓の縦断方向に2列と横断方向に6列の側線で測定を実施した.縦断方向と横断方向で反射波のクロスチェックをおこない正確な氷厚を求めた.GPRの解析結果をもとに氷厚の大きい上流部において,アイスドリルを用いて,長さ4.5mのステークを5地点に設置し,GEM-1(測位衛星技術社製)で9月末と10月末でGNSS測量を実施し,2時期のステークの位置情報の差から流動量を求めた.9月末に水平に打ち込んだステークは,再測時の10月末でも水平を保っていたことから,積雪のグライドやクリープは,流動に関与していない.結果 ⅰ)8つの氷河と雪渓の質量収支は,2015/2016年に全域が消耗域となり,2016/2017年に全域が涵養域となり,2017/2018年にパッチ状に涵養域と消耗域が点在する結果であった.2015~2018年の融雪末期の中で最も氷河と雪渓の規模が小さくなったのは,小雪年の2016年である.2016~2018年までの高度変化で,「吹きだまり涵養型」の雪渓と「なだれ涵養型」を比較したところ,「なだれ涵養型」のほうが大きく涵養していた.ⅱ)唐松沢雪渓では,GPRの結果から最深部で30mほどの長さ1㎞ある氷体を確認した.流動観測では,ステークは1ヶ月間で斜面方向に20cmほど動いており,得られた氷厚と流速は氷河の流動則とほぼ一致した.
著者
福井 幸太郎 菊川 茂 飯田 肇 後藤 優介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

はじめに<br>&nbsp;2014年5~6月,立山カルデラの温泉の池「新湯」で湯枯れが発生し湖底が干上がった.6月13日なると温泉が再び湧出して水位が上昇,6月15日にはもとの温泉の池にもどった.新湯が一時的に干上がることは数十年前から富山県内の山岳関係者の間で指摘されていた.しかし,写真などの記録は無く,現地で確認できたのは今回が初である.本発表では,湯枯れの発生と温泉の再湧出による水位回復の経過について報告する.<br><br>新湯について<br>新湯は立山カルデラ内を流れる湯川左岸に位置する直径約30 m,水深約5 mの円形の火口湖.もともと冷水の池であったが1858(安政5)年の安政飛越地震(M7.3~7.6)の際の激しい揺れによって熱水が湧き出したとの伝承がある.現在も約70℃の湯が湧出している.希少な玉滴石(魚卵状蛋白石=オパール)の産出地で2013年10月17日に国の天然記念物に指定された. <br><br>湯枯れと温泉再湧出の経過<br>・2014年4月15日:立山砂防事務所撮影の航空写真から新湯では温泉が湧出しており水位も平年通りであることを確認.<br>・5月13日:博物館撮影の航空写真から新湯が干上がっていることを確認.<u>このため,新湯は</u><u>4</u><u>月</u><u>15</u><u>日~</u><u>5</u><u>月</u><u>13</u><u>日の間に干上がったと考えられる.<br></u><u></u>・6月11日:<u>現地にて新湯が完全に干上がっていることを確認(図</u><u>1a</u><u>).</u>池の最深部(水深約5 m)に直径1 m程の凹みが3つあり活発に湯気を噴き上げていたが温泉の湧出はなかった.<br>・6月13日:立山砂防事務所より新湯で再び温泉湧出がはじまったとの連絡が入る.<br>・6月15日:現地にて池の最深部付近から温泉が湧出しており水位が元のレベルまで回復していることを確認(図1b).水位は<u>6</u><u>月</u><u>13</u><u>日~</u><u>15</u><u>日の</u><u>3</u><u>日間程で元のレベルで回復したといえる.</u>湯温は池の切れ口付近で72.6℃と干上がる前と同程度だった.<br><br>謝辞<br>今回の調査は国土交通省立山砂防事務所の協力・支援によって実現しました.お礼申し上げます.
著者
福井 幸太郎 菊川 茂 飯田 肇 後藤 優介
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.77, 2014 (Released:2014-10-01)

はじめに 2014年5~6月,立山カルデラの温泉の池「新湯」で湯枯れが発生し湖底が干上がった.6月13日なると温泉が再び湧出して水位が上昇,6月15日にはもとの温泉の池にもどった.新湯が一時的に干上がることは数十年前から富山県内の山岳関係者の間で指摘されていた.しかし,写真などの記録は無く,現地で確認できたのは今回が初である.本発表では,湯枯れの発生と温泉の再湧出による水位回復の経過について報告する.新湯について新湯は立山カルデラ内を流れる湯川左岸に位置する直径約30 m,水深約5 mの円形の火口湖.もともと冷水の池であったが1858(安政5)年の安政飛越地震(M7.3~7.6)の際の激しい揺れによって熱水が湧き出したとの伝承がある.現在も約70℃の湯が湧出している.希少な玉滴石(魚卵状蛋白石=オパール)の産出地で2013年10月17日に国の天然記念物に指定された. 湯枯れと温泉再湧出の経過・2014年4月15日:立山砂防事務所撮影の航空写真から新湯では温泉が湧出しており水位も平年通りであることを確認.・5月13日:博物館撮影の航空写真から新湯が干上がっていることを確認.このため,新湯は4月15日~5月13日の間に干上がったと考えられる.・6月11日:現地にて新湯が完全に干上がっていることを確認(図1a).池の最深部(水深約5 m)に直径1 m程の凹みが3つあり活発に湯気を噴き上げていたが温泉の湧出はなかった.・6月13日:立山砂防事務所より新湯で再び温泉湧出がはじまったとの連絡が入る.・6月15日:現地にて池の最深部付近から温泉が湧出しており水位が元のレベルまで回復していることを確認(図1b).水位は6月13日~15日の3日間程で元のレベルで回復したといえる.湯温は池の切れ口付近で72.6℃と干上がる前と同程度だった.謝辞今回の調査は国土交通省立山砂防事務所の協力・支援によって実現しました.お礼申し上げます.
著者
畠 瞳美 奈良間 千之 福井 幸太郎
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100288, 2016 (Released:2016-04-08)

北アルプス北東部に位置する白馬大雪渓は日本三大雪渓の一つで,夏季には毎年1万人以上の登山者が通過する日本屈指の登山ルートである.白馬大雪渓上では岩壁の落石や崩落で生産される岩屑により毎年のように登山事故が起こっている.本研究では,落石・崩落の実態や大雪渓周辺の地形変化を明らかにすることを目的として,2014~2015年に現地調査を実施した.2014年の7月~8月に設置したインターバルカメラの撮像結果より,この時期に岩壁から生産された礫の雪渓への侵入はわずかであり,雪渓上に無数に点在する礫の多くは雪渓内部から融出したものであった.UAVの空撮画像を用いて作成した50 cm解像度DEMから得られた表面傾斜角をみると,大雪渓本流では緩傾斜地と急傾斜地が交互に存在し,インターバル撮像から急傾斜地で礫の再転動・再滑動が多く確認された.また,大雪渓上には6種類の礫を確認し,その分布は本調査地域の地質を反映していた.2011~2014年にかけて,大雪渓上流(白馬岳,杓子岳),2号雪渓,3号雪渓及び大雪渓下流右岸側において岩壁が部分的に後退していた.アイスレーダー探査の結果によると,雪渓の厚さは薄いところで約3 m,厚いところで約20 mであり,場所による雪渓の厚さの違いが確認された. 白馬山荘において観測された気温・地温データから,気温が0度付近となる時期は4月末~5月末であり,凍結融解作用で岩壁から礫が生産される時期は非常に短く,7~8月は降水や再転動などの要因で落石事故が生じていると考えられる.さらに,融雪に伴い岩盤が露出することで,凍結融解作用によって生産された岩屑が落石へと発展することがわかった.雪が著しく融けて昨年の雪渓表面が出現する場合,少なくとも雪渓上には2年分の礫が存在するため,礫の再転動・再滑動による災害のリスクが高まると考えられる.本流において急傾斜地で再転動・再滑動が多く起こるという結果から,より急傾斜な2号雪渓と3号雪渓ではそのリスクは非常に高くなることがわかった.本調査地域の地質,大雪渓上の礫の関係及び岩盤の経年変化から,落石はほぼ全ての方向の岩壁斜面から発生しているが,特に杓子岳周辺では落石による激しい岩盤侵食と崖錐の形成が起こっていると考えられる.
著者
野呂 和嗣 服部 祥平 植村 立 福井 幸太郎 平林 幹啓 川村 賢二 本山 秀明 吉田 尚弘 竹中 規訓
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>アイスコアに保存された硝酸の濃度及び安定同位体組成(d<sub>15</sub>N)は、古気候解析において有力な情報であると考えられる。しかし、硝酸は積雪として沈着した後、揮散もしくは紫外線による光分解反応によって消失することが知られており、このときに同位体分別を伴うことから、残留した硝酸には<sub>15</sub>Nが濃縮し大気中硝酸のd<sub>15</sub>N値比べて極めて高いd<sub>15</sub>N値が観測される。この沈着後の硝酸分解過程は清浄な南極大気において貴重な窒素酸化物生成源であり、南極における大気化学反応場(= 大気酸化剤の相対寄与)を変化させる重要な要因でもある。このように、南極における硝酸の積雪後の変化を解明するため、本研究では東南極ドローニングモードランドの沿岸部から内陸部にかけて採取された雪中の硝酸のd<sub>15</sub>N値を分析し、積雪中の硝酸光分解反応の地域間差異を推定した。</p>
著者
福井 幸太郎 飯田 肇 カクネ里雪渓学術調査団
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100016, 2016 (Released:2016-04-08)

はじめに 日本では、立山剱岳に氷河が現存していることが学術的に認められている(福井・飯田 2012)。カクネ里雪渓では、秋になると氷河の特徴を備えた氷体が表面に出てくることが昭和30年代に明らかにされていた(五百沢 1979)。しかし、その後約60年間観測が行われていなかった。2011年6月にアイスレーダー観測を行ったところカクネ里雪渓の氷体は厚さ40 m以上、長さ700 mと立山剱岳の氷河に匹敵する規模であることが分かった。氷河か否か明らかにするために2015年秋に測量用GPSを使用して氷体の流動観測を行ったのでその結果について報告する。 調査方法 ①ポールの移動量の観測(全5地点):9月24日にアイスドリルで表層部の積雪を貫通し氷体に達するまで穴を開け、長さ4.6 mのポールを挿入してその位置を高精度GPSで測量した。10月18日にポールの位置を再度GPSで測量し、ポールの動いた量から氷体の流動を観測した。水平方向の誤差は約1 cmである。 ②クレバス断面での氷体の観測:9月24日と10月19日に雪渓上流部の深さ6 mのクレバスに潜り、数カ所から氷をサンプリングし、現地にて密度観測や薄片の作成・観察を行った。結果 ①ポールの移動量観測の結果、雪渓の中流部では24日間で15~17 cm、上流部と下流部では12~13 cmと誤差以上の有意な流動が観測された(図1)。流動方向は、東北東で雪渓の最大傾斜方向と一致した。 ②クレバス断面での氷体観測の結果、雪渓表面~深さ1 mでは、密度が700-780 kg/m3で積雪中の気泡がつながっているためフィルンであった(図2)。深さ1~6 mでは、密度が820 kg/m3を超え気泡が独立していて氷河氷であった。考察 今回の流動観測では、24日間で最大17 cmに達する比較的大きな流動が観測された。観測を行った秋の時期は、融雪末期にあたり、雪氷体が最もうすく、流動速度が1年でもっとも遅い時期にあたる。このため、カクネ里雪渓は、1年を通じて連続して流動する「氷河」である可能性が非常に高いと言える。 年間の流動速度は、2.5 m前後と推定され、剱岳の三ノ窓・小窓氷河(3~4 m/年)よりは小さいものの立山の御前沢(ごぜんざわ)氷河(0.2~0.5 m/年)よりは大きかった。
著者
福井 幸太郎 岩田 修二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.23-28, 2000-01-15
被引用文献数
17 1

1999年10月10日, 飛騨山脈北部に位置する立山, 内蔵助 (くらのすけ) カールの標高2,720mの地点で, 日本アルプスでは未報告であった永久凍土であると考えられる凍結層の存在をピット調査によって確認した. ピット掘削時の活動層の厚さは120~130cmであった.<BR>この永久凍土の形成には秋の積雪前の凍結とマトリクスを欠く角礫層やルースな砂礫層の存在が, 維持には夏遅くまで残る積雪層が大きな役割を果たしていることがピット調査と地表面温度観測結果から分かった.<BR>また, 永久凍土が確認できたプロテーラスランパートと呼ばれている岩屑地形は, 今まで雪渓 (氷体) 上に砂礫が堆積した地形と考えられており, この地形内の凍土は, 下層に存在する氷体の断熱効果のために底面融解が抑制されている可能性があった.しかし, 電気探査の結果からこの地形の下に氷体は存在しないことが明らかになった.
著者
福井 幸太郎
出版者
立山カルデラ砂防博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

現在の日本の山岳には、多年性雪渓(万年雪)は存在するが、氷河は存在しないとされていた。本研究では、飛騨山脈剱岳の小窓雪渓、三ノ窓雪渓、立山の御前沢雪渓で氷体の厚さと流動の観測を実施した。その結果、各雪渓は厚さ30 m以上、長さ400~1200 mに達する巨大な氷体をもち、氷体は1ヶ月あたり5~30 cm流動していることが明らかになった。したがって、小窓,三ノ窓、御前沢雪渓は日本では未報告であった1年を通じて連続して流動する現存する「氷河」であると考えられる。