出版者
西村市郎右衛門[ほか5名]
巻号頁・発行日
1785

1冊。天明5年(1785)初秋刊。板元は西村市郎右衛門(京)で、売出は西村源六(江)、柏原屋清右衛門(大)、中川藤四郎(京)など5書肆が名を連ねる。序に「天明五年季秋 景甫題」とあるが、著者記載はない。天明5年には板元西村市郎右衛門より『万宝料理秘密箱』『柚珍秘密箱』『鯛百珍料理秘密箱』などが刊行され、柱題も「料理秘密箱○」と共通するが、本書も同じ柱題が存し、一連の企画物の出版と想定できる。序に指摘される如く、「下戸上戸共にもちゆべきは此料理」で、「貴賤老若雅人鈍ぶつ」に勧められるのが大根である。本文は「縮大根切方」から「細干大根あえもの仕方」までの50の項目からなる。各項目では「仕方」「切方」という言葉を加える如く、このうち半数近くは、白髪、紅梅、椿花、牡丹花、杜若花など、大根の切方の説明を主とし、いくつかは図も加える。他は大根鮓、田楽大根、黄檗てんぷら大根などの仕方(調理法)の説明であり、いずれも参考となる記述が多い。(山本和明)(2019.11)

2 0 0 0 OA 柚珍秘密箱

著者
器土堂
出版者
西村市郎右衛門[ほか5名]
巻号頁・発行日
1785

1冊。器土堂(きとどう)著。刊記に従えば天明5年(1785)初秋の刊であるが、虚斎山人の序に「天明五年のとしの冬」とある。おそらく江戸での売出時期にあたる天明6年3月頃の刊行か。板元は西村市郎右衛門(京)、売出は西村源六(江戸)のほかに、大坂・京・伊州の4軒。内題「新著料理/柚珍秘密箱」。序文に「書肆亦秘密箱を携来りて」とあり、柱題に「料理秘密箱○柚」とあるように、西村市郎右衛門から刊行された『万宝料理秘密箱』など「秘密箱」シリーズの一種にあたる。本文に「今年柚はなはだ豊年なれば来年は猶以て豊年なるべしと此書をあらはす」とある。「柚一色にてさまざまめづらしき料理かたをしるす」と見返し広告にみるように、「柚飯之仕方」から「百柚くすり湯の方」までの全44項目からなる。柚煮湯、柚薬酒、柚あられ、柚豆腐、柚砂糖漬などの料理の製法を記すのみならず、柚保存方や薬用について記述する点に特色がある。(山本和明)(2019.11)