- 著者
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器土堂
- 出版者
- 西村市郎右衛門[ほか5名]
- 巻号頁・発行日
- 1785
1冊。器土堂(きとどう)著。刊記に従えば天明5年(1785)初秋の刊であるが、虚斎山人の序に「天明五年のとしの冬」とある。おそらく江戸での売出時期にあたる天明6年3月頃の刊行か。板元は西村市郎右衛門(京)、売出は西村源六(江戸)のほかに、大坂・京・伊州の4軒。内題「新著料理/柚珍秘密箱」。序文に「書肆亦秘密箱を携来りて」とあり、柱題に「料理秘密箱○柚」とあるように、西村市郎右衛門から刊行された『万宝料理秘密箱』など「秘密箱」シリーズの一種にあたる。本文に「今年柚はなはだ豊年なれば来年は猶以て豊年なるべしと此書をあらはす」とある。「柚一色にてさまざまめづらしき料理かたをしるす」と見返し広告にみるように、「柚飯之仕方」から「百柚くすり湯の方」までの全44項目からなる。柚煮湯、柚薬酒、柚あられ、柚豆腐、柚砂糖漬などの料理の製法を記すのみならず、柚保存方や薬用について記述する点に特色がある。(山本和明)(2019.11)