- 著者
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須川 修身
今村 友彦
- 出版者
- 諏訪東京理科大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2010
区画火災時に火災室内でフラッシュオーバーやバックドラフトが起こると、800°C近い高温の火炎および熱気流が窓などの開口部から噴出する。このときの火炎は瞬間的には50~100m/s程度の比較的大きな初速度を持って火災室から水平に打ち出される。火炎高さに関して断片的な知見しか得られておらず、延焼危険性の評価も経験則に依っているところが多い。そこで本研究は、高速で噴出する拡散火炎の性状を把握することを目的として研究を行った。火炎噴射装置から発生させた火炎の高さ、温度および放射熱を計測した。燃料として、液体燃料を用いた。ノズル径と不活性ガスの圧力の組合せにより発熱速度を制御した。噴射装置架台は0°~90°(0°:噴射方向が水平方向)の範囲で任意に傾きを設定した。その結果、90°の場合、火炎高さは、Q*>106の範囲でも、無次元数RMの値が0.1より小さい場合は、火炎高さはQ*2/5に比例して高くなった。また火炎中心軸上の温度減衰を、McCaffreyモデル(低速拡散火炎)と比較すると、本実験では温度減衰の開始点がz/Q2/5=0.15~0.20付近であり、McCaffreyモデルよりも遠くなった。しかし、温度減衰が始まると、温度は距離に対してMcCaffreyモデルよりも急速に低下する傾向を示した。一方で、高速で噴出する拡散火炎の中心軸上の温度減衰、水平方向の温度分布、熱流束の水平分布は、いずれも発熱速度の変化に対して相似性が保存されていることが分かった。