著者
神谷 貴広 町田 武美
出版者
農業情報利用研究会
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.263-271, 2002 (Released:2011-03-05)

フィールド作業時の意思決定支援や適性作業の確認、そしてトレーサビリティーのためには、正確な農作業の記録、および記帳負担の軽減が必要である。そこで、GPSで得られる位置情報を基本データとすることで、正確な農作業の内容を自動的に導き出すシステムが有効である。本研究はGPSデータから作業内容を推論し、自動記録するためのシステムを検討した。自動記録は、GPSで求めた作業位置および時間から、データベース(圃場情報、作業情報、機械情報、肥料・農薬情報、作物情報)を参照し、ルールベース型推論およびファジィ推論を経て作業内容を推論する。また、作業軌跡から、圃場面積、作業能率、圃場作業効率等のデータ収集も可能である。更にフィールド外データも記録可能なため、圃場外の作業について記録分析が可能である。本研究では、複数の作業候補から実施作業を同定するために、GPSから得られる位置、作業軌跡、および速度をデータにして、ファジィ推論するアルゴリズムを開発し作業同定の有効性を確認した。
著者
南石 晃明
出版者
農業情報利用研究会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.141-159, 2002
被引用文献数
1 9

多様な営農リスクや経営目標を明示的に考慮できる営農計画手法を簡易に利用できるように,目標分析やリスク分析が行えるシステムを開発した.このシステムでは,試算分析と数理計画法の統合的利用が可能である.システムは,表計算ソフトをベースにVBAを用いて開発されており,手法面では多様な経営目標,収益リスクおよび作業リスク,労働や土地の制約に加えて機械作業時間や施設処理能力の制約が考慮できる点が特徴である.また,システム面では,機械作業可能時間等の算出機能,演算に用いるモデル構造の選択機能が特徴である.1996年7月の試作システムの配布開始から2001年12月末までの累積利用申込者数は575件であり,このうち66%を都道府県の農業改良普及センターや試験研究機関が占めている.システムの適用事例は少なくとも80以上があり,技術評価と営農計画に大別できる.本研究により,システムが持つべき機能および基本構造は明らかになった。今後の課題としては,システムが取り扱うデータを3種類に区分し,農業技術体系データベースを構築することが求められている。
著者
上原 絢子
出版者
農業情報利用研究会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.59-68, 2003

インターネット市場向け気象情報は、静止画情報及び気象データと動画情報の組合せによる同時提供が今後の標準になると予想している。即ち、緊急性が要求される情報や地域的/時間的な細かさが要求される情報については静止画情報や気象データを、防災や環境といった特定テーマ番組や専門家によるコンサルティング番組に関しては動画解説情報を提供する形態が望ましい。上記を踏まえ、本稿では気象情報分野を事例として、高速インターネットビジネスに関する動向と今後の展望について述べていきたい。