著者
小泉 鏡子 瀧野 修作 落合 芳博
出版者
静岡県水産技術研究所
巻号頁・発行日
no.50, pp.18-22, 2017 (Released:2018-03-12)

駿河湾で漁獲された深海性サメ類3種(ヨロイザメ,ユメザメ,オンデンザメ)の筋肉の脂質特性を明らかにするため,脂質含量,脂質組成,脂肪酸組成について分析を行った。脂質含量と脂質組成については,ヨロイザメとユメザメは類似していたが,オンデンザメはこれら2種とは異なっていた。一方,中性脂質の脂肪酸組成については,ヨロイザメとオンデンザメではオレイン酸の組成比が最も高かったが,ユメザメではDHAが最も高かった。今回分析した3種の深海性サメ類の筋肉中の炭化水素及びワックスエステル含量は0.03~0.04g/100gであり,食用禁止魚であるバラムツやアブラソコムツ(約17.0g/100g)に比べて少なく,食用利用に問題ないと考えられた。
著者
石田 孝行
出版者
静岡県水産技術研究所
雑誌
静岡県水産技術研究所研究報告 (ISSN:18830382)
巻号頁・発行日
no.51, pp.13-18, 2018-10

太平洋クロマグロの漁獲管理措置に伴い集計された2015~2016年の静岡県知事管理漁業のクロマグロ属人漁獲量と,1994年以降の属地水揚量を整理することで,静岡県におけるクロマグロの水揚げの特徴と動向を明らかにした。水揚量が急増した2016年は,11~12月に沿岸及び近海かつお一本釣り漁業による0歳魚が年間属地水揚量の70%を占めた。その他の漁業も含め,この年の静岡県に水揚げされたクロマグロは4kg未満の0歳魚が主体であった。1994年以降の属地水揚量の推移と尾叉長組成の傾向から,静岡県に水揚げされるクロマグロは,銘柄別ではメジ,年齢では加入直後の0~1歳魚が主体であると考えられた。また,メジ銘柄の属地水揚量は年変動が大きく,多獲年には沿岸及び近海かつお一本釣り漁業による漁獲が年間水揚量に大きく影響していると推察された。