3 0 0 0 OA 浮世続

著者
菱川〔師宣//画〕
出版者
鱗形屋三左衛門
巻号頁・発行日
1684

書名は版心による。書題箋は「浮世都々幾」。菱川師宣が遊女・野郎等当代の風俗を描いたもので、見開き20図よりなる墨摺絵本。師宣最盛期の天和年間の代表作のひとつ。伝本は非常に少なく、天和2(1782)年刊本が東洋文庫に、天和4年刊本がニューヨーク公共図書館とボストン美術館に所蔵されている。本書は天和4年の刊本で、天和2年刊本の版木焼失後に再刻されたもの。年記以外は忠実に覆刻されており、「当風品絵づくし」という書名で伝存するものもある。稀書複製会(4期)等から複製が刊行されている。

3 0 0 0 OA あいごの若

出版者
鱗形屋三左衛門
巻号頁・発行日
1708

説経浄瑠璃。六段本。宝永5年(1708)、江戸鱗形屋三左衛門刊。奥村政信の挿絵。原題簽に「天満八太夫」と記す。二条蔵人清平は長谷観音に祈り、申し子愛護の若を授かるが、若13歳の時、御台所は観音に命を召される。後妻は若に邪恋を抱き恋文を送り続けるが、若は拒絶し、後妻は清平に讒言すると清平は怒って若を桜の古木に吊り下げる。亡き母は閻魔大王に訴え、鼬に変身して若の手飼の白猿と共に若を助ける。若は比叡山西塔北谷の阿闍梨を頼るが、天狗の悪戯と間違えられ追い返される。艱難辛苦の中で絶望した若は瀧に身を投げて死ぬ。事情を知った清平は後妻を簀巻にして淵に沈め、清平、阿闍梨、ほか大勢の者と手飼の白猿は身を投げて死ぬ。若は山王権現と祀られる。(岡雅彦)

1 0 0 0 OA 大和武者絵

著者
菱川師宣//画
出版者
鱗形屋三左衛門

著名な武将の戦闘場面などを描き、上段に説明を加えた絵本。源平合戦が主だが、楠木正成父子別れの場面や大江山鬼退治の場面もある。表紙は後補、題簽はなく、書名は序題による。原題簽には「大和絵 むしや絵づくし」とあるという。天和3年(1683)の刊行で、当館本は刊記から刊年を削除した後印本。延宝8年(1680)刊行と推定される別版があり、当初は同年刊の『大和絵づくし』等と一連のものとして刊行されたと思われる。序文には「房州の海辺菱川氏といふ絵師」という師宣の出自に関する記述や「うき世絵師」の呼称が見える。跋文には「大和絵師 菱川吉兵衛尉」と署名がある。国学者黒川真頼(1829-1906)、真道(1866-1925)父子旧蔵。