- 出版者
- 鱗形屋三左衛門
- 巻号頁・発行日
- 1708
説経浄瑠璃。六段本。宝永5年(1708)、江戸鱗形屋三左衛門刊。奥村政信の挿絵。原題簽に「天満八太夫」と記す。二条蔵人清平は長谷観音に祈り、申し子愛護の若を授かるが、若13歳の時、御台所は観音に命を召される。後妻は若に邪恋を抱き恋文を送り続けるが、若は拒絶し、後妻は清平に讒言すると清平は怒って若を桜の古木に吊り下げる。亡き母は閻魔大王に訴え、鼬に変身して若の手飼の白猿と共に若を助ける。若は比叡山西塔北谷の阿闍梨を頼るが、天狗の悪戯と間違えられ追い返される。艱難辛苦の中で絶望した若は瀧に身を投げて死ぬ。事情を知った清平は後妻を簀巻にして淵に沈め、清平、阿闍梨、ほか大勢の者と手飼の白猿は身を投げて死ぬ。若は山王権現と祀られる。(岡雅彦)