著者
泉水 宏臣
出版者
(財)明治安田厚生事業団体力医学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、精神疾患患者への運動療法の効果を検討した。まず、様々な種類の運動(動的運動、静的運動、競技的要素を含む運動)が精神疾患患者の感情状態に及ぼす効果を検討した結果、いずれの運動も心理教育と比較して感情状態改善効果が高かった。次に、運動(ヒップホップダンス)による感情状態改善効果を気分障害患者と統合失調症患者において検討した結果、どちらも感情状態が改善した。さらに、長期的な運動の効果を検討した結果、デイケア施設にて実施した運動プログラムに定期的に参加した精神疾患患者は、そうでない患者と比較してメンタルヘルスが向上した(精神科症状の軽減、自己効力感の増加)。統合失調症患者に限って同様の検討をした結果でも、定期的な運動参加がメンタルヘルスを改善した(自己効力感の増加)。よって、精神科の治療として運動は有効であることを示すことができた。