著者
藤原 康弘
出版者
Society for Regulatory Science of Medical Products
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.141-149, 2015 (Released:2015-06-11)
参考文献数
40

本稿では,アンメットニーズの高い医薬品への早期アクセスを実現するために,世界中で様々な社会制度,薬事制度が導入されていることを紹介した.余命の限られた重篤な疾患を持つ患者や難病の稀少疾患に長年にわたって苦しむ患者にとって,有効性や安全性に関するエビデンスは少なくとも未承認薬に期待してしまう思いは世界共通の問題である.その気持ちを踏まえつつ,また2025年には団塊の世代が後期高齢者となり国民皆保険制度が危機に瀕することが必至な我が国に適した早期アクセスプログラムを産官学そして患者が一体となって考案していかなければならない.
著者
井本 昌克
出版者
Society for Regulatory Science of Medical Products
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.121-134, 2015 (Released:2015-06-11)
参考文献数
4

未承認薬の問題への取り組みは,平成17年頃より「未承認薬使用問題検討会議」,「小児薬物療法検討会議」,「治験のあり方検討会」,「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」を通じて,多面的に検討がなされてきた.企業へのインセンティブの不足を解消するために,平成21年度の補正予算事業「未承認薬等開発支援事業」,その後の「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行導入により,未承認薬等の解消が図られた今,更なる取り組みとして,「未承認薬迅速実用化スキーム」,「人道的観点からの拡大治験」といった枠組みの整備が始まっている.
著者
佐藤 弘之
出版者
Society for Regulatory Science of Medical Products
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.135-140, 2015 (Released:2015-06-11)
参考文献数
9

未承認薬・適応外薬問題への対応は,医療上必要な未承認薬・適応外薬検討会議での検討や製薬企業が自主的に取り組むことにより多くの成果を上げてきた.しかしまだそれらの課題がすべて解決したわけではない.未承認薬・適応外薬に密接に関連するドラッグラグの問題の根本的な解決策は日本での新薬開発・審査のスピードアップである.日本の製薬企業を取り巻く環境はかなり変化してきており,新薬を創生するためにはオープンイノベーションを取り入れるなど,新たな試みが必要となる.厚生労働省は,患者さんの医薬品へのアクセスをさらに改善するために,「人道的見地からの治験への参加」や「患者申出療養」の制度を導入しようとしている.これらの制度を設計する際に留意すべき点や今後の適応外薬についての対応について述べる.
著者
内田 毅彦 小林 宏彰 石倉 大樹 虞都 韻 村上 哲朗 中野 壮陛
出版者
Society for Regulatory Science of Medical Products
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.211-217, 2015

世界の医療機器マーケットは拡大し続けているが,日本の医療機器産業はあまり活発ではなく,毎年7000億円もの貿易赤字を作り出している.しかしながら,技術力があり,モノづくりが匠で,医療水準が高い日本は本来であれば世界の医療機器産業を牽引していても不思議ではない.日本の医療機器産業が世界をリードするようになるために,幾つかのポイントが考えられる.米国のオバマケア,費用対効果,リバースイノベーション,国際共同治験,デジタルヘルスといったキーワードを踏まえた上で,日本のベンチャー企業が医療イノベーションを作り出そうとする際に,これからはよりグローバルな視点で事業化を行っていく必要があると考える.