著者
山口 誠史 松尾 沢子
出版者
THE JAPAN EVALUATION SOCIETY
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1_31-1_46, 2011

日本の国際協力NGOによるアカウンタビリティに関する取り組みは、1990年代中頃までほとんどみられなかった。しかし、1990年代後半になるとNGOへの関心の高まりや社会の様々な組織に対するアカウンタビリティ向上の要望、NGOによる補助金不正使用事件の発覚などをきっかけに、NGO独自のアカウンタビリティ取り組みの必要性が認識されるようになった。<br>国際協力NGOのネットワーク組織である(特活)国際協力NGOセンター(JANIC)は、2002年に有志による委員会を発足させ、「組織運営」「事業実施」「会計」「情報公開」の4つの分野で合計322項目からなる自己審査キット「NGOのアカウンタビリティ行動基準」を策定した。その後、項目数の削減や立会人制度の導入などの改良を加えた「アカウンタビリティ・セルフチェック2008(ASC2008)」を作成し、JANIC正会員団体を対象に普及に取り組んでいる。<br>今後は、途上国で開発協力を行う現場型以外のNGOにも適用できる基準の見直しや組織強化につながる仕組みづくりなどを進めつつ、ASC2008の実施団体を増やし、NGOの社会的信頼性の向上に貢献していく。
著者
西本 哲也
出版者
THE JAPAN EVALUATION SOCIETY
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.147-159, 2007

不良債権処理に伴う失業者に対する雇用対策として、緊急雇用対策交付金の創設を中心としてセーフティネットの構築が図られ、2001年度補正により予算も付けられた。しかし、この雇用対策が本当に効果的であったかどうかは、実はよくわかっていない。雇用対策の実施を担った厚生労働省は「おおむね効果があった」と自己評価していたが、報道や国会質問により、自己評価に対する疑問や政策の効果に対する疑問が呈されていたためである。<BR>他方、わが国の政策評価制度は、「評価の評価」(メタ評価) を行なう機能があらかじめ設定されている。その役割を担うのは、総務省行政評価局による客観性担保評価と呼ばれる活動である。この緊急雇用対策交付金に対しては、客観性担保評価が一歩進んだ形で行なわれたが、同時に課題や限界も明らかになった。
著者
池上 清子 高橋 径子
出版者
THE JAPAN EVALUATION SOCIETY
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.99-106, 2003

外務省は2001年度、1994年から日本政府にイニシアティブでスタートしたGII (=Global IssuesInitiative on Population and AIDS) が2001年3月で終了したことを受け、プログラム評価を実施した。その一環で、官民連携によって現場レベルに与えたインパクトと日本国内に与えた影響について評価調査を試みた。<BR>官民連携のコンセプトは長年言われ続けてきたが、その過程で官民連携に留まらず、開発協力に従事する様々な関係者が連携しあうネットワークの出現を中心として、新しい動きがみられるようになった。GIIでみられた官民連携や他のドナーとの連携を中心とする様々な試みが、他の分野においても実践されつつある。<BR>1994年以降の政策レベルおよび現場レベルの双方での実践を振り返り分析し、「連携」を鍵に好事例の抽出を行うと同時に、課題点・問題点を検証し、今後の「連携」のあり方に対する提案を行う。