著者
小堀 善友 青木 裕章 西尾 浩二郎 佐藤 両 芦沢 好夫 八木 宏 宋 成浩 新井 学 岡田 弘
出版者
THE JAPANESE UROLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.103, no.3, pp.548-551, 2012-05-20

(目的)不妊症の原因が膣内射精障害であるカップルは少なくない.これらの膣内射精障害患者に対し,マスターベーションエイドであるTENGA<sup>®</sup>を用いてリハビリテーションを行った.(対象と方法)男性不妊症患者で膣内射精障害を訴えた男性16人(29~48歳).非用手的マスターベーションや,強すぎるグリップなど,マスターベーション方法に誤りが認められる患者を10名認めた.テストステロン値には異常を認めなかった.外来にてカップルに対してカウンセリングと正しいマスターベーション方法を指導し,マスターベーションエイドを用いた射精リハビリを指導した.併用した薬剤や挙児希望者に対して用いた生殖補助医療についても検討した.(結果)16例中12例(75%)は射精リハビリテーションの結果TENGA<sup>®</sup>を用いてのマスターベーションは可能になり,マスターベーション方法は補正が可能であった.さらにこのうち5例(31%)は膣内で射精が可能になった.(結論)膣内射精障害は,潜在的に多くの患者がいる可能性がある.マスターベーション方法が間違っている患者に対しては,マスターベーションエイドにて補正が可能であり,膣内射精も可能になる事が示された.マスターベーションエイドは,膣内射精障害治療の選択枝の一つとなりうると考えられた.
著者
寺本 咲子 庭川 要 村岡 研太郎 小川 将宏 國枝 太史 松嵜 理登 山下 亮 松井 隆史 山口 雷蔵 鳶巣 賢一
出版者
THE JAPANESE UROLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.696-700, 2011-09-20
参考文献数
9
被引用文献数
3

患者は55歳男性.肉眼的血尿,右腰痛を契機に発見された右腎癌でリンパ節・骨・肺転移を認めた(cT1bN1M1).経腹膜的右腎摘除術を施行した.病理組織診断でCD10,P504S,CK19陽性でありTubulocystic carcinoma(pT3a)と診断した.転移巣に対する治療でSunitinibを投与し,CTで腫瘍縮小(部分奏功;PR)を認めた.術後12カ月現在増悪なく治療継続中である.Tubulocystic carcinomaはlow-grade collecting duct carcinomaとAminらが紹介したものに相当し,2004年のWorld Health Organization(WHO)分類に含まれていないまれな腫瘍である.組織学的には,腫瘍細胞は立方体から扁平の形状で嚢胞を取り囲んでおり,大きな核小体と好酸性か両染性の細胞質を有し,軽度の細胞異型があり,その中にHobnail型細胞も認められる.免疫組織学的には,Tubulocystic carcinomaは近位尿細管マーカー(CD10,P504S)と遠位尿細管マーカー/集合管マーカー(Parvalbumin,CK19)の両方に染色されるのが特徴である.この腫瘍は増殖性に乏しい病理組織所見を呈するが,転移・浸潤しやすい性質を持つとされる.転移に対する治療法は確立されていないが,本症例ではSunitinibが有効であった.<br>
著者
甲斐 文丈 本山 大輔 海野 智之 須床 洋
出版者
THE JAPANESE UROLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:18847110)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1, pp.26-28, 2014

症例は29歳,男性.性同一性障害患者.主訴は陰嚢部痛.自己去勢を試みたが,出血と疼痛のため中止し,2時間後に当院に受診した.両側精巣は摘除されておらず,腰椎麻酔下に陰嚢縫合術を施行した.術後,自傷の反復は認めない.