著者
木村 泰知 荒木 健治 桃内 佳雄 栃内 香次
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J84-D2, no.9, pp.2079-2091, 2001-09-01

本論文では対話例から学習を行う音声対話処理手法について述べる.多くの音声対話システムはあらかじめ生成規則やデータベースを与えて処理を行うタスク指向であり,日常対話における雑談などの様々な話題を処理することは難しい.本手法はシステムとユーザのやりとりを対話例として,遺伝的アルゴリズムを用いた帰納的学習によってシステム応答とユーザ発話を対としたルールの獲得を行う.あらかじめ学習データを必要とせず,実対話例から獲得したルールにより応答を試みる.そのため,動的なデータから学習を行うことができ,データによる偏りを少なくする.本論文では本手法の有効性を明らかにするために,雑談を対象とし,音声対話に拡張したELIZA型システムと本手法によるシステムとの比較実験及び,複数被験者による実験を行った.その結果,比較実験で正応答と準応答の合計の割合が66.3%から76.1%に向上したことと,実対話例から獲得したルールを用いて有効な応答を行うことを確認した.この9.8ポイントの向上という結果は本手法が雑談に対して有効であることを示している.

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