著者
花房 竜馬 荒木 健治
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.683-692, 2023-08-15 (Released:2023-08-16)
参考文献数
14

現在,スマートフォンやスマートスピーカーの普及によって人と対話エージェントとの対話は日常的に行われている.しかし,これらのデバイスに搭載されている対話エージェントは雑談システムとしての能力が不十分であり,人同士の対話と同等の面白さを感じることはできない.この問題を解決するためには,対話中の文脈情報を考慮した高度なユーモア処理を実現する必要がある.これまでの研究において,対話中の文脈情報を含むユーモアの面白さや文脈情報が面白さに与える影響については明らかにされていない.本論文では対話文脈を考慮した駄洒落の面白さを評価する標準データベースを構築するために,駄洒落を含む対話を収集し,12,000件の駄洒落が含まれる対話に対して対話の面白さを複数人で評価した.それに加えて,対話文脈による駄洒落の面白さの変化について分析を行った.
著者
谷津 元樹 荒木 健治
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.875-886, 2016-10-15 (Released:2016-11-12)
参考文献数
25
被引用文献数
2

近年,対話システムの普及に伴い,機械が言語的ユーモアを理解する必要性が高まっている.これまでの研究において,駄洒落などの韻文のユーモアを対象に大規模な自然文の集合から検出を試みた例は確認されていない.駄洒落を含む文をブログテキストよりSVMを用いて分類する手法を提案し,有効な素性を調べるため,駄洒落全般の類型別の構成比の標本調査を行った.その結果,文内に音韻的に類似した1形態素およびそれに対応する音素列を有する駄洒落の類型が支配的であることが判明した.このため本論文では,語彙素性に加え,音韻類似度に基づく音韻類似区間の検出ルールを素性としたSupport Vector Machineを用いた分類による検出手法を提案する.検出性能評価実験の結果,提案手法におけるルールベース素性の付加の有効性が確認された.
著者
花房 竜馬 荒木 健治
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.860-871, 2021-11-15 (Released:2021-11-15)
参考文献数
13

近年,精神疾患患者の増加に伴い,精神治療におけるカウンセリングの需要が急増している.しかし,精神治療への抵抗感や費用の高さから治療を受けられず,疾患の悪化により自ら命を絶つケースも少なくない.現時点では,心理療法士と同等の精神治療を代行できる対話システムは存在しない.本論文では,心理療法における問題の認識を自動的に行うために,相談者の発話から悩み文,心情文を自動抽出する手法を考案した.その手法を基に,ルールベースによる抽出システム,類似性による抽出システム,分類器による抽出システムを開発した.各抽出システムにより性能評価実験を行った結果,分類器による抽出システムがF値0.73と最も良い性能を示し,提案手法の有効性が示された.
著者
ヨーナス・シューベルグ 荒木 健治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.35, pp.91-95, 2007-03-29
被引用文献数
1

我々は日本語の謎掛けを自動的に生成するシステムを提案する。本システムは謎掛けスタイルの駄酒落を生成するが、使用する辞書によって、生成される結果は様々でおる。謎掛けのためのヒントを生成するための情報源として Web を用いた。生成された謎掛けの一部を人手による評価を行った。システムが生成した謎掛けは人間が作成したものより評価が低かったが、下品な言葉の辞書を用いた場合の方が、普通の言葉の辞書を用いた場合よりも評価が高いという結果が得られた。生成された謎掛けの約30%は、文法的な誤りや、その他の要因のため意味を理解できないものであった。We present a system for generating wordplay jokes in Japanese, which generates riddle style puns. By using different lexicons, different results can be achieved. Web searches are used to generate hints for the riddles. A subset of the generated riddles is evaluated manually. Using a naughty word lexicon gave funnier riddles than using normal words, though computer generated riddles in general were less funny than human generated riddles. Many computer generated riddles contain broken grammar or in other ways fail to make sense.
著者
木村 泰知 小林 暁雄 坂地 泰紀 内田 ゆず 高丸 圭一 乙武 北斗 吉田 光男 荒木 健治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

本研究では,地方政治に関する研究の活性化・学際的応用を目指して,「議論の背景」「議論の過程」「議論の結果」を関連づけるコーパスの構築を進めている.本稿では,議論の背景・過程・結果を関連づける地方政治コーパスの構築の試みについて述べる.
著者
荒木 健治 高橋 祐治 桃内 佳雄 栃内 香次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.391-402, 1996-03-25
被引用文献数
19

我々は, 人間の言語および知識獲得能力の解明とその実現を目的として研究を行っている. このような研究はこれまでいくつか存在するが, 工学的に有効なシステムを完成するまでに至っていないのが現状である. また, 心理学の立場からの研究も存在するが, これらの研究は工学的にどう実現するかという問題は対象としていない. そこで, 本論文では, この言語および知識獲得能力を工学的に実現する一つの試みとして, 入力べた書き文とその漢字かな交じり文より帰納的に語の読みと表記を獲得し, その獲得状況および変換精度に基づく確実性の高い語より順に変換するという帰納的学習によるべた書き文のかな漢字変換手法を提案する. 本手法は辞書が空の状態からでも学習機能により語を獲得することができるので, 辞書を個人ごとに自動的に作成することが可能, 個人用辞書とすることにより辞書容量を少なくできる, 未登録語の自動登録が可能, 初期辞書作成の労力を回避できるという利点がある. 本論文では, 更に本手法に基づく実験システムを作成し, 異なる4分野の論文40編を用いて本手法の学習機能による適応性能を確認するための実験を行った. 実験の結果, 4分野すべてにおいて90%以上の精度が得られ, べた書き文のかな漢字変換における本手法の有効性が確認された.
著者
高松 雅彦 荒木 健治
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2010-NL-195, no.9, pp.1-7, 2010-01-21

本研究では,ユーザにとってオンラインゲームの対話文内において未知語となる語の情報抽出を行う.オンラインゲーム上の対話文には,未知語,インターネット用語,スラングなどが多く含まれるため,新たにゲームを始めるユーザにとって発話内容の意図が理解しにくく,コミュニケーションが阻害される原因となる.そこで本稿では,ユーザが指定する任意の語について関連語とその語意をチャットログ内とWebから抽出し,ユーザに提示することでユーザ間のコミュニケーション支援を可能とするシステムを提案する.実験の結果,ユーザの発話内容の理解度の大幅な向上が見られ,支援システムとしての有効性を明らかにした.
著者
山川 裕也 荒木 健治
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.1(2004-NL-165), pp.45-51, 2005-01-12

近年,ペットが人間にとって重要な役割を担うようになってきており,ペットに関連する様々な技術が研究されている.動物の言語についての研究も行われており,飼い主が考える動物の意思を人間の言語で表現することによって,動物とのより良い信頼関係が築けると考えられる.そこで,我々はこれまでペットとして飼育される動物を対象とした対話処理手法を提案している.本手法では,人間の発話と動物の反応を一組の入力として,出力となる飼い主が考える動物の意思を言語で表現する.入力と出力の組から応答規則を獲得する方法として帰納的学習を用いる.本稿では,評価実験を行った結果から提案した手法の有効性と,これまで1 人であった被験者を増やし,複数の被験者による性能の評価について述べる.
著者
荒木 健治 笹岡 久行 広重 真人 栃内 香次
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

最終年度である平成15年度は平成14年度に行なった基礎実験に基づいて作成された実験システムを用いて性能評価実験とその結果明らかとなった問題点の改良を行なった.具体的には実環境下でビデオカメラを固定し,その手前に飼い主がいるという設定で限定された呼びかけに対するシステムの精度,使い勝手の評価を行なった.対象動物は猫である.評価基準としては「非常に満足,やや満足,やや不満,非常に不満.未応答」という5段階を用いた.実験の結果,総合では「非常に満足」が67.2%であるが,ユーザや対象動物に対するシステムの適応が進んでいない前半では「非常に満足」が46.9%であり,後半では87.5%と非常に高くなっている.このことは本手法の有効性を示しているものと考えられる.さらに,音声認識結果が誤りとなった場合のシステムの動作について考察したところ音声認識結果に誤りがある場合でも総合で「非常に満足」が49.3%であるが,後半だけでは73.5%となり音声認識誤りについても音声認識誤りを含む実例からのルールの獲得やフィードバック機能により正解となる場合が多く見られた.今回行なった改良は動物の動作の認識として動物の写っている画像においてその画像における動物の割合によって動物が現在どのくらい離れているのかを近距離,中距離,遠距離の3段階に評価を行い,動物が近づいて来たのか,そのままとどまっているのか,遠ざかったのかの判断を行なうという機能の追加である.本研究課題の研究機関である2年間において動物の行動とユーザの発話よりユーザの意図する動物の応答をシステムが代行できることの可能性が示された.また,そのようなシステムを使用することの有効性を性能評価実験により確認した.今後は本研究課題で達成された成果を基にさらに実用化に向けてシステムの改良を行なう予定である.
著者
田上 諒 越前 谷博 荒木 健治
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2018-NL-238, no.2, pp.1-6, 2018-12-04

本報告では,対訳辞書などの高品質な対訳知識を用いることなく,コンパラブルコーパスから対訳文を自動抽出する手法を提案する.提案手法では,単語分散表現を用いて翻訳行列と類似度計算を行うことで対訳文を抽出する.その際,類似度計算には Earth Mover's Distance を用いる.更に,提案手法では文長の違いを重みとして類似度に用いることで抽出精度の向上を図っている.ニュース記事のコンパラブルコーパスを用いた性能評価実験の結果,全記事の平均の F 値はベースラインで 0.13, EMD のみのシステムと提案手法にける文長を考慮しない場合では共に 0.42,文長を考慮した場合は 0.49 となった.これらの結果から,文長を考慮した提案手法の有効性が確認された.
著者
桧森 拓真 木村 泰知 坂地 泰紀 荒木 健治
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.645-652, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
13

本研究では,地方議会会議録に含まれるテキストの発言箇所を自動で推定する.実験のデータセットは,平成23年4月から平成27年3月までの4年間の4つの自治体の議会会議録であり,青森県,東京都,大阪府,福岡県の会議録に対して,人手で発言文と発言以外の文にアノテーションを行った.「4年間のデータを利用した発言文の推定実験」では,学習データと評価データに「同一自治体のデータ」を利用した実験,および,「異なる自治体のデータ」を利用した実験を行なった.実験の結果,SVMの平均正解率が最も高く,それぞれ,0.985,0.951となった.また,少量の学習データによる「1年間のデータを利用した推定実験」では,LSTMとSVMの比較を行った.比較実験の結果,LSTMの平均正解率が0.926となりSVMの平均正解率よりも6.1ポイント上回る結果となった.
著者
藤原 敬記 伊藤 敏彦 荒木 健治 甲斐 充彦 小西 達裕 伊東 幸宏
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.7, pp.1493-1503, 2006-07-01
参考文献数
24
被引用文献数
9

実環境での音声対話システムの使用において,誤認識を回避することは難しい.誤認識が起きると,システムはユーザの期待する応答とかけ離れた応答を行い,対話がスムーズに進まなくなることも多い.そこで本研究では,音声認識器が誤認識した場合でも,認識信頼度と対話履歴を用いることで正しくユーザの意図を推定することができる音声言語理解手法を提案する.これは,音声認識器が誤認識した場合でも多くの場合,複数候補(N-best)中に正解が含まれていること,システムが誤認識した場合にはユーザは大体訂正反応を示すこと,タスク指向対話には強い一貫性がありユーザは基本的に意味的・文脈的に関係した内容以外を発話しないことを利用する.また,提案手法ではあらかじめすべての認識可能単語を理解候補として保持し,言語理解部の対話戦略において音声認識結果中の単語との意味的関連性などを考慮している.これにより音声認識結果のN-best中に正解の一部が含まれていない場合でも,複数のユーザ発話の認識結果に基づくことで正しい意図を推定することが可能となっている.評価データにおいて,提案手法における対話単位での理解率は72.2%(21,430/29,670対話),単語単位での理解率は87.1%(77,544/89,010単語)であり,従来手法の最新認識結果の上位候補を優先するシステムの57.9% (17,178/29,670対話),75.4%(67,084/89,010単語)と比較しても有効である.
著者
天谷 祐介 荒木 健治 ジェプカ ラファウ
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
ファジィシステムシンポジウム講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.233-238, 2012-09-12

第28回ファジィシステムシンポジウム(28th Fuzzy System Symposium). 2012年9月12日~14日.名古屋工業大学, 名古屋市.