著者
大窪 義博 上保 徹志
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J89-B, no.7, pp.1141-1150, 2006-07-01

一般に,レーダは近距離の測距が難しく,その最小探知距離は数m以上である.我々が提案した定在波レーダは,周波数帯域幅が76 MHzの場合,最小探知距離は2 m程度となる.最小探知距離を短くするための一解決法は周波数帯域幅を広くすることであるが,電波法による制限があり現実的ではない.我々はこれまでに,定在波レーダにおいて,周波数帯域幅を広げることなく,0 mから測距可能な手法を提案し,その構成と測定原理を示した.また,数値計算によるシミュレーションで測定原理の検証を行った.本論文では,0 mから測距可能な定在波レーダの実現性を確認するため,実際に定在波レーダを用いて,その測定原理を実験的に検証する.その結果,24 GHz帯で周波数帯域幅76 MHzの条件において,最小探知距離2 mよりも近い位置(0.14 m,0.3 m,0.5 m,1 m)にあるターゲットの距離を誤差数cmの精度で測定できることが確認された.0.14 m以下の距離については,今回の実験環境では,ターゲットとアンテナとの位置的な干渉のため,ターゲットを0.14 mより近くに置くことができず,実際に確認することはできなかった.しかし,確認した距離において,理論どおりの距離スペクトルが得られていることから,特別な制限なく測定可能であると考えている.

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[定在波レーダ]

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