著者
松本 亮介 栗林 健太郎 岡部 寿男
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J101-B, no.1, pp.16-30, 2018-01-01

Webサービスのハードウェアコストや運用管理コストを低減するために採用される高集積マルチテナントアーキテクチャは,複数のユーザを同居させる特性上,ユーザ単位でセキュリティを担保するために,適切な権限分離を行う必要がある.そして,ホストに配置されるWebコンテンツを事業者が管理できないことを前提に,コンテンツに依存することなく基盤技術でセキュリティと性能を両立させるアーキテクチャが必要である.これまでに,実用上十分なセキュリティを担保しつつハードウェアの性能とリソース効率を最大化するための手法が数多く提案されてきた.また,マルチテナントアーキテクチャでは,ホスト間で権限分離だけでなく適切なリソース分離が行われる必要がある.リソース分離が不十分な場合,収容するホスト数が増えるにつれ,管理者により高負荷の原因となっているホストを特定し対処する作業の必要が生じ,運用管理コストが逆に増大してしまう.そのような運用上の問題の生じないリソース分離が可能なマルチテナントアーキテクチャの必要性も高まっている.更に,高集積マルチテナントアーキテクチャ採用時に,セキュリティを担保し,リソース分離を適切に行いながら,付随して生じる運用・保守に関するコストを低減させるためには,いかに運用技術を改善していくかが重要である.本論文では,Webサーバの高集積マルチテナントアーキテクチャにおいて,Webコンテンツをサービス事業者が管理できないことを前提に,高い性能とリソース効率を維持しつつハードウェアや運用管理コストを低減させるためのアーキテクチャについて,これまでの研究を概観するとともに,著者らによる最新の研究成果について紹介する.
著者
関谷 勇司 中村 遼 岡田 和也 堀場 勝広
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J98-B, no.4, pp.333-344, 2015-04-01

現在のネットワークを取り巻く状況は,クラウドやビッグデータの普及,並びにスマートフォンやIoTといったデバイスの増加により,次の世代への変革を迎えようとしている.それにともない,これらの技術を支えるインフラである,ネットワークに求められる機能や性能も,従来の要求とは異なったものとなる.そのため,新たな要求に応えることのできるネットワークアーキテクチャが必要とされる.そこで本論文では,この新たなネットワークアーキテクチャの構築とその可能性について述べる.本論文にて提案する新たなネットワークアーキテクチャは,SDNとNFVを用いて構築される.まず,SDNとNFVに関して,その概念と技術並びに現状を解説し,最新の動向について述べる.また,Interop Tokyoにて行われた実証実験を通じて得られた,SDNとNFVの課題について述べ,その解決法について議論する.最後に,新たなネットワークアーキテクチャを構築するための技術課題と展望についてまとめる.
著者
宮下 裕章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.9, pp.1003-1014, 2012-09-01

シェルクノフはリニアアレーを多項式と捉え,サブアレーを素子アンテナとみなしアレーアンテナの指向性合成を論ずるアレー原理(arrays of arrays principle)を定式化した.アレー原理は多くの応用を生んだが,根本原理の数学的分析が十分であるかについては疑問が残る.本論文では,一般的な見地からリニアアレーを数学の対象物として再定式化する.リニアアレーのアレーファクタは代数曲線上の関数と考えるのが自然であり,アレーファクタの積による分解はガロア被覆塔に対応する.塔の構造は整数の加法群から得られる射影系に一対一に対応し,最長の被覆塔はアレーアンテナの素子数を法とする整数加法群の組成列から得られる.素子数が無限の場合はエタール基本群を絶対ガロア群とした扱いができ,ガロア被覆塔から生じる全てのアレー原理を含む絶対アレー原理が定式化される.
著者
佐古 和恵 古川 諒 小出 俊夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J100-B, no.11, pp.893-900, 2017-11-01

本論文では,ブロックチェーンを履歴データを管理する台帳モデルとして切り出し,そのモデルの見地に立った際のブロックチェーン技術の分類について論じる.本モデルがブロックチェーン技術の活用を検討するサービスやシステム設計者に対して,ブロックチェーン採用の一助となるべく,各分類に対しての課題や期待されるメリットについて述べる.更に,本モデルに基づいた社会実装に対する考察について,ブロックチェーンを活用した公平性を検証可能なオンラインゲームを一例に論じる.
著者
小泉 達寛 山田 寛喜 藤井 智史 長名 保範 宇野 亨
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.7, pp.519-520, 2022-07-01

波浪の観測を目的とした海洋レーダは,通常,垂直偏波で運用される.筆者らは,広い海域を観測できる海洋レーダの特長を生かしたマルチユース化の可能性を検証するため,偏波海洋レーダを開発した.本論文では,そのレーダの概要と実験結果を報告する.
著者
西山 英輔 豊田 一彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.5, pp.317-326, 2023-05-01

現在,IoT,近距離通信や無線センサネットワークなど無線を利用したシステムの多様化や5Gの実用化でアンテナの性能・機能の向上が求められている.例えば,指向性可変機能化,ビーム走査機能化,マルチバンド化,広帯域化やアダプティブアレー化などの多機能化が挙げられる.本論文では,アンテナの多機能化の手段としてアンテナとマイクロ波機能回路の複合技術を活用した平面型の多機能アンテナに注目する.このアンテナでは,多機能化のためにアンテナの直交共振モードを活用する.直交共振モードはお互いに独立であるために,その組み合わせで自在に所望の共振姿態を形成できる.マイクロ波機能回路は,アンテナに生じる直交する複数の共振モードを切替や合成するために活用する.ここでは,アンテナとマイクロ波機能回路との複合技術について説明し,それらを体系的にまとめている.また,アンテナとマイクロ波機能回路の複合による多機能アンテナの実際について概説する.
著者
呉 承彦 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J97-B, no.10, pp.849-860, 2014-10-01

構造化P2Pネットワークでは,各ノードが保持する経路表を用いてルーティングを行い宛先ノードに到達する.既存の多くの構造化P2Pネットワークでは,経路長はノード数nに対してO(logk n)であるが,対数の底kはP2Pネットワークの運用中に変更できるものは知られていない.本論文では,構造化P2Pネットワークの一つであるChord#の経路表(finger table)を拡張することでkの値を動的に変更可能な経路表構築手法を提案する.また,拡張したfinger tableを用いて,最大経路長が指定した任意の値を上回らないようにする方式(経路長優先方式)と,経路表サイズを指定した任意の値とする方式(経路表サイズ優先方式)を実現した.これらの方式により,定数ホップ及び対数ホップルーティングが可能である.提案手法の有効性はシミュレーションにより確認した.
著者
山田 寛喜
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.2, pp.66-82, 2021-02-01

ミリ波レーダは,その伝搬特性,広帯域性から,主に車載レーダとして広く普及してきた.更にMIMOレーダ化による高機能化,低価格化に伴い,近年では,近距離高分解能レーダとして幅広い応用研究が進められている.このようなアレーレーダ化により,距離,速度(ドップラ周波数)に加え,方位(角度)情報といったターゲットの3次元情報が得られる.これらを用いることによりターゲットの空間的な位置や様々な特徴を得ることができる.距離分解能は周波数帯域幅,ドップラ分解能は観測時間の増加に伴い改善可能である.しかしながら,方位分解能に関しては,アレー素子数の増加が必要となるため,ハードウェアの制約等により十分な分解能確保が困難な場合が多い.この論文では,方位分解能改善の観点に絞り,その高分解能化に関して論じている.ここでは二つの異なるアプローチを概説し,その有効性を明らかにする.一つは人物などの動きのあるターゲットの検出を目的としたMIMO仮想アレーによる高分解能化手法である.もう一つは自動車の側方(斜め前方)監視を目的としたレーダプラットホームの動きによる合成開口手法である.これらの手法の効果を実験結果を通して示している.
著者
堀 俊和
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J99-B, no.9, pp.646-654, 2016-09-01

メタ・サーフェスは,自然界には存在しない反射特性をもつ人工表面(超表面)のことであり,その表面に入射した電磁波の反射位相を制御できる特徴を有している.本論文では,メタ・サーフェスの基本構造と特性を示すとともに,設計・解析手法について概説する.次に,FSSを用いたメタ・サーフェスを取り上げて,光学近似理論を用いた簡易設計法を紹介し,AMCの低姿勢設計,PMC特性をもつメタ・サーフェス設計,偏波変換メタ・サーフェスの設計,反射角制御メタ・サーフェスの設計の四つの例について具体的設計法を明らかにする.更に,メタ・サーフェスのアンテナ・伝搬への応用として,アンテナの反射板,モノスタティックRCS低減反射板,伝搬環境改善のための反射板の三つの検討例を紹介する.
著者
山中 直明 西村 光弘 石黒 正揮 岡崎 義勝 川西 哲也 釣谷 剛宏 中尾 彰宏 原井 洋明 廣岡 俊彦 古川 英昭 宮澤 雅典 山本 直克 吉野 修一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.3, pp.315-336, 2021-03-01

2020年に我が国でも5G商用サービスが本格開始され,2021年の東京オリンピック・パラリンピックでは,5Gを応用したサービスのトライアルが行われる.一方,同時に将来の技術やニーズを先取りしたBeyond 5G/6Gの研究開発スタートの年となる.Beyond 5G/6Gを検討する際は,将来を予想して必要となるサービスを左手とするならば,ブレークスルーにより発展する基盤技術を右手として,それらを融合するネットワークアーキテクチャを面的に考え,同時に時間軸のステップを考える必要がある.そのため,総務省が主体となり「Beyond 5G時代の有線ネットワーク検討会」を発足させ,キャリア,国立研究機関,アカデミアに加え,本分野の代表的な電子情報通信学会研究専門委員会の委員長,コンソーシアムの主導者にも参加頂き,Beyond 5Gのオーバービューとブレークスルー技術等の取りまとめを行った.本論文では,そこで取りまとめた「ネットワークビジョン2030」を電子情報通信学会の多くの読者,研究者に提供することにより,自らのビジネスや研究へのヒントを得ると同時に,各分野の最新動向をフィードバック頂くことで,常に最新のビジョンへブラッシュアップすることを目指し,執筆を行った.
著者
阪田 史郎 青木 秀憲 間瀬 憲一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J89-B, no.6, pp.811-823, 2006-06-01

インターネットや携帯電話網などの従来のネットワークにはない無線マルチホップの新しい形態で通信を行うアドホックネットワークは,ユビキタスシステムにおける重要なネットワークとして,特に1990年代末以降活発な研究がなされてきた.2003~2004年にはユニキャストルーチングについて,IETF(Internet Engineering Task Force)のMANET(Mobile Ad hoc NETwork)WGにおいて三つのプロトコルがExperimental RFCになり,現在Standard TrackのRFCに向けた作業が進展している.また,大規模なテストベッドの構築が進展し,実用化への期待が高まっている.本論文では,アドホックネットワークについて,これまでの研究,標準化の動向を述べた後,MAC層でのアドホック(無線マルチホップ)ネットワークの実現技術として,2004年5月に検討が開始されたIEEE802.11sにおける無線LANメッシュネットワークに関する標準化状況,研究内容,アドホックネットワークの今後の進展を展望する.
著者
田邉 勇二 上野 伴希 馬場 孝明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J90-B, no.12, pp.1274-1283, 2007-12-01

本論文では,室内の高精度な位置特定を実現させる基礎技術として,これまで報告のなかったアンテナ自身の群遅延解析をダイポール及び八木・宇田アンテナについて行った.2ポートZマトリックスを用いてダイポールアンテナ及び八木・宇田アンテナの群遅延解析を行い,遠方においてアンテナ群遅延が,前者はアンテナの自己インピーダンスで決定され,後者は放射器の自己インピーダンスと放射器近傍に存在する素子間における相互インピーダンスにより決定されることを示した.これらのことを踏まえ,ダイポール及び八木・宇田アンテナを実験により評価したところ共振周波数においてそれぞれのアンテナ群遅延が1.3 λ,2.7 λ(λは波長)となり,高精度な位置特定が必要とされる環境下では無視できない量であることが分かった.更に両実験について電磁界シミュレーションにより比較検討を行い,反射波による影響について考察する.
著者
島岡 政基 西村 健 古村 隆明 中村 素典 佐藤 周行 岡部 寿男 曽根原 登
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.7, pp.871-882, 2012-07-01

通信の安全を確立するサーバ認証を適切に行うには,パブリック認証局から発行されたサーバ証明書が必要である.しかしながら,過去にはパブリック認証局から発行を受けることの重要性が正しく認識されてこなかったことがあり,更には商用のサーバ証明書は審査手続きが煩雑な上に学術機関の実態に沿っていないなどの課題もあったため,学術機関におけるサーバ証明書の普及は遅れていた.そこで筆者らは,学術機関のために最適化したサーバ証明書発行スキームと,証明書自動発行支援システムからなる学術機関のためのサーバ証明書発行フレームワークを提案した.国立情報学研究所による実証実験と本運用を通じて,同スキームにより高い身元確認レベルを確保しつつ審査手続きの学術機関最適化を,また同システムにより認証事業者の証明書発行業務を自動化するとともに各学術機関が必要な学内システムを用意した場合には学術機関側の工数削減も可能であることを実証した.
著者
吉敷 由起子 チン ギルバート シー 岡村 航 岩﨑 慧 古川 玲 杉山 健斗 呉 聖屹 白川 正之 川村 雅彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.11, pp.862-871, 2022-11-01

Society5.0の時代では,サイバー・フィジカル空間が相互に作用し,電波システムに関しても新たな設計・評価,検証を短時間で実現することが求められる.本論文ではサイバーフィジカルシステム上でエミュレーションを可能とする電波伝搬モデルの開発を目的として,レイトレーシングベースでの研究開発を行っている取り組みについて紹介する.広域環境として,ドローンによる橋梁のインフラ点検業務などを対象としたシナリオでの電波伝搬モデルの検討を,狭空間では,スマート工場を想定して,人や機械が動く環境を対象としたシナリオでの伝搬モデルの検討について述べる.また電波伝搬の解析には構造物の3Dモデル化が重要になってくるので,点群データからレイトレーシング解析用の3Dモデル化の研究内容についても述べる.
著者
川又 憲 石上 忍 藤原 修 スローカ ヤン
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.10, pp.639-645, 2023-10-01

ESD(Electrostatic Discharge: 静電気放電)によりインパルス性の過渡電磁ノイズが発生する.このような広帯域かつ過渡的な電磁ノイズは,機器の誤動作や故障の原因となり,またその対策も簡単ではないためEMC(Electromagnetic Compatibility: 電磁両立性)の観点から重要な問題の一つとされている.そこで,ESDによる電磁ノイズの放射メカニズムを議論するため微小電気ダイポールによる放射モデルを想定して検討を進めている.本論文では,この放射モデル適用の妥当性を実験で確認するため,一対の球電極で発生するESDによる過渡電界波形を10 GHzの帯域を有する光電界プローブを用いて測定し,電界強度ピーク値の距離特性について考察を行った.その結果,電界強度のピーク値は,球電極対の極近傍では放電点からの距離dの1/d3に従って減衰し,近傍では1/d2,更に遠方では1/dに従って減衰した.この結果は電気微小ダイポールによる電磁波放射の距離特性と一致しており,ESDによって発生する過渡電界の放射モデルとして,微小電気ダイポールモデルの妥当性を確認した.
著者
金尾 奨 五百旗頭 健吾 豊田 啓孝
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.7, pp.400-402, 2023-07-01

損失を有する共振器型フィルタは,回路基板の平行平板共振抑制時におけるオープンスタブ構造からの不要放射が懸念される.本論文では,放射要因ごとに分解したモデルを用いて共振抑制時の放射を評価した結果,当該構造からの放射増は無視できる程度と判明した.
著者
大石 裕司 大沼 晃浩 眞下 大輔 高瀬 誠由
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.5, pp.281-291, 2023-05-01

ローカル5Gは既設ネットワークから分離して敷設されうるが,ローカル5Gネットワークから既設ネットワーク内システムの利用のために相互接続の需要がある.一方でローカル5Gネットワークと既設ネットワークとの間には,(1)アドレス体系が独立でありネットワーク管理レイヤが異なるため,既設ネットワークからローカル5G端末を識別・管理できない,(2)セキュリティレベルの低いローカル5Gネットワークにより既設ネットワークのセキュリティリスクが増大する,という二つのギャップがあり相互接続が許可されない.本論文では解決技術として,(1)レイヤ間でアドレスを変換し既設ネットワークからローカル5G端末を識別・管理させる「レイヤ間アドレス変換」,(2)ローカル5Gネットワークから既設ネットワークへの通信範囲を限定する「既設ネットワーク内トンネリング」の二つの手法を提案した.提案手法をソフトウェアにより実装し,実際のローカル5Gネットワークと実際の社内ネットワークを用いて評価を行った.結果として,提案手法にて二つのギャップを解決し,ローカル5Gネットワークと既設ネットワーク間で相互接続できることを確認した.
著者
島崎 安徳 西森 健太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.7, pp.504-505, 2022-07-01

0.92/2.4/5GHz帯における様々なセル形態の実伝搬測定データに基づき,複数の伝搬環境に分類した.対数近似曲線にて距離に対する伝搬損失係数を求め,各結果における伝搬損失を考察した.
著者
山本 康平 尾﨑 龍之介 日景 隆 山﨑 圭子 宮下 ちひろ 岸 玲子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.8, pp.640-642, 2022-08-01

青少年の電波ばく露と健康影響に関する大規模な疫学研究が実施されている.本論文では,同疫学研究のばく露量推定に用いられる携帯型個人ばく露計について,被験者に近接配置された際に人体による反射及び遮蔽影響が受信特性に与える影響を定量的に評価した.