- 著者
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田沼 英樹
出口 弘
- 出版者
- The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
- 巻号頁・発行日
- vol.J90-D, no.9, pp.2415-2422, 2007-09-01
SOARS(Spot Oriented Agent Role Simulator)は,社会システムをマルチエージェントシステムとしてボトムアップにモデル化するために開発された新しいシミュレーション言語である.SOARSは当初,伝染病の感染シミュレーションの記述言語として開発された.社会生活を営む人々の行動を記述するためSOARSにいくつかの独自なモデル概念が導入されたが,それらがより一般的な社会シミュレーションの記述にも有用であることが分かった.SOARSは三階層のモデリングフレームワークをもつ.下位層はJava言語であり,中位層が,我々のモデリングフレームワークの核となるSOARSスクリプト言語とその開発実行環境であるモデルビルダーである.本論文ではSOARSの中核となるモデリングフレームワークにつき,その特質と設計,実装について明らかにする.そこではエージェントの役割行為を記述する宣言型のスクリプト言語と,因果的に順序関係をもつ複数のステージという概念に基づいた手続き型の実行順序制御が導入される.上位層は,プログラミングの知識のないユーザがモデルを開発するための開発実験GUI環境である.