著者
新田 幸司 大坐畠 智 加藤 聰彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J98-B, no.2, pp.141-152, 2015-02-01

ネットワークエミュレーションでは,実システムから送信されるパケットを実時間以内に処理し,通信相手に届ける必要がある.そのため,処理の高速化のため並列・分散処理が可能なエミュレータが開発されてきた.並列・分散処理が可能なネットワークエミュレータでは,各端末の無線エミュレーションを独立した論理プロセス(LP: Logical Process)として分割し,並列に実行することで,性能の向上を実現している.並列・分散処理を行った場合でも,単一でエミュレーションを行った場合と同じ結果を得るため,LP間で影響のあるイベントの実行時に同期が必要となる.並列・分散エミュレーション環境では,無線LANを用いて通信を行う端末の間でフレーム衝突やMAC層の再送のイベントを実行する際,同期をとらずにそれぞれの受信側で独立して実行した場合,エミュレーション結果が端末間で異なる問題がある.本論文では,端末間(LP間)でのエミュレーション結果が異なる問題を改善するために,フレーム送信端末側で情報を付加し,かつ,1ホップ内の全ての受信端末に対して動作決定の判断に必要な情報を事前に共有させておくことで,受信端末に対してのフレームの同時受信・再送のイベントの同期をとる方式を提案する.ネットワークエミュレータEMANEに提案方式を実装し,評価を行う.

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