著者
依岡 隆児
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.38, pp.265-279, 2008-09-30

ドイツ語圏における「ハイク」生成と日本におけるその影響を、近代と伝統の相互関連も加味して、双方向的に論じた。ドイツ・ハイクは一九世紀末からのドイツ人日本学者による俳句紹介と一九一〇年代からのドイツにおけるフランス・ハイカイの受容に始まり、やがてドイツにおける短詩形式の抒情詩と融合、独自の「ハイク」となり、近代詩の表現形式にも刺激を与えていった。一方、日本の俳句に触発されたドイツの「ハイク」という「モダン」な詩が、今度は日本に逆輸入され、「情調」や「象徴」という概念との関連で日本の伝統的な概念を顕在化させ、日本の文学に受容され、影響を及ぼしていった。こうした交流から、新たに「ハイク」の文芸ジャンルとしての可能性も生まれたのである。

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